はじまり ページ2
Noside
その大事件は、妖魔界にあるエンマ大王のお屋敷で起こった。
吸い込まれそうな白い満月が浮かぶ夜。
長身に白い髪、黒い和服姿の男……エンマ大王の側近兼妖怪議会議長のぬらりひょは、険しい顔で廊下を歩いていた。
ぬらりひょん「またあんなに仕事を残して！今日という今日は…！」
先ほど、人間界へお忍びで来ていたエンマ大王が帰ってきた。少し暗い顔をしていたエンマ大王だったがすぐにいつもの調子で部屋に帰っていった。数分後、人間界でエンマ大王を探していたぬらりひょんが帰ってきて、犬まろと猫きょから事情を聞き___
そして、今に至る。
カツカツと靴音を鳴らし、大王の部屋の前に立つ。
ぬ「失礼致します。エンマ大王様」
少し苛立ちを込めながら扉を叩き、返答を待つ。
…しかし、待っても返事は帰ってこない。
ぬ「…大王様？
…失礼致します」
不審に思い、ぬらりひょんは部屋の扉を少しだけ開ける。部屋を除くとそこには___
ぬ「ッ！？」
ぬ「大王様！」
ぬらりひょんは扉を勢い良く開け、部屋の中に入る。
辺りを見渡すが、エンマ大王の姿は見えない。それどころか、彼の気配すらも感じない。
ぬ「…まさか、また無断で人間界に！？
まったくあの人は…！！」
ぬらりひょんは険しい顔で部屋中を探し回る。怒りや呆れの感情とは別に、何か嫌な予感が雲のように広がっていく。
最期に足を踏み入れたのはエンマ大王の寝室部屋。
ぬ「大王さ……ま……っ！」
___その時、ぬらりひょんは見た。
開いていた寝室部屋の窓から、"エンマ大王の着物と一緒に、何か黒い影が外へ出ていく姿"を。
ぬ「待て貴様！何者だ！！」
ぬらりひょんは急いで二つの影を追う。しかし影はすぐに夜の闇に消え、外に続くバルコニーをいくら探しても見当たらない。
悔しく歯軋りをするぬらりひょんは、矢で刺された紙が置いてあるのを発見した。少し震えている手で紙を引き抜き、内容を目で追う。
ぬ「なん、だと……くそッ！！」
目を見開き、紙はグシャリと歪む。舌打ちを打つと、ぬらりひょんは紙を捨て踵を返し、恐ろしい形相で部屋を出ていった。
ぬ「犬まろ！猫きよ！どこにいる！！緊急事態だ！！！！」
捨てられた紙は蝶のように舞い、やがて音もなくバルコニーの床に落ちる。その紙には、黒々とした炭でこう書いてあった。
『エンマ大王、お借りします』
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布教する猫(プロフ) - 玲音さんコメントありがとうございます！題名変えました！(急ですみません！前のが良かったら戻します！) (5月6日 11時) (
レス) id: 0899319726 (このIDを非表示/違反報告)
玲音(プロフ) - 初コメ失礼します！タイトル、変えましたか？（変えてなかったらすいません！！）これからも、更新頑張ってください！応援してます！！ (5月6日 11時) (レス) @page14 id: 6d322150f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：布教する猫 | 作者ホームページ：nhatev-hdfs yue1
作成日時：2023年6月20日 7時
