鴉はウソをつくのがお好き ページ16
ロ「ま、まぁ!
魔導服の説明は後で、ゆっくりするとして…とにかく今は天使を狩りにいかないと!
急ぎましょう!」
ロノさんは急ぎながら私の手を掴み、屋敷の少し向こうのほうに広がる森へと進んでいく。
私は少しこけそうになるが、そんな事気にしている場合じゃなかった。
椿「ちょ、まっ…!(…まっって!?!?
急に恋愛小説みたいに手を掴まれて走ってるんですけど!?だからさー)…やめ…(てよそんな心臓に悪いこと!?)」
…ロノさんの背中たくましい…カッコいいなぁ……。繋いだ手も暖かい……私の心音が伝わったらどうしよう……なんて……。
…いやいや待て待て私!!本来の目的を忘れるなっ!!けどまじ尊い…。やっぱり無理にでもあいつを連れてきた方が良かった…!!
た、助けてぇ〜……
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夜鴉said
「目覚めたら異世界に来ていた」…なんて言葉を聞いた事がある。
隠れオタクな姉さんが興奮して俺だけに喋っていた話題に、その事が入っていた事は二度や三度じゃなかった。
俺は半分聞き流していたから、姉さんより詳しくはない。そんな現実味が無い馬鹿げた事があるわけないと思っていた。
…まさか、今日自分達の身におこるなんて考えもしなかった。
夜「…という訳なんすよ…」
…俺は今、執事たちの事情聴取を受けている。
そりゃあ、あんな状態で来たら誰だって驚くし、聞きたくもなる。
…と言うわけで、「俺達は会社務めの両親から虐待を受けていて、その生活に耐えきれなくなったから、6年前にバイトで集めた金を使って家を出て二人で暮らしていた。
しかし、昨日俺達の家を特定した両親が押し掛けてきて、酷い暴力で実家に帰らせようとした。
その場から逃げて、走り疲れた所に金の指輪が落ちていて、姉さんがつけたら意識を失い、気がついたらここにいた」
……という"設定"で話した。
まぁ、嘘は言ってないし良いでしょ。
それを聞き、執事たちはなんとも言えない暗い表情になった。それと共に空気も重たくなる。
ベ「そうだったんですね……」
ル「それで、あんな大怪我を負っていたわけかい。君の方が重症だったってことは、相当無茶をしたんだね?」
夜「あ、あはは……。
…頭も運動もそんなに良いもんじゃない俺にとって、姉さんはたった1人の家族なんすよ。だから、あの時は必死で……。
まぁ、鉄パイプでやられそうになった時は死ぬかと思いましたけど…」
俺はそう言って少し笑う振りをした。
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作者名:布教する猫 | 作者ホームページ:nhatev-hdfs yue1
作成日時:2022年5月9日 21時