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「この人達は？」
車と渋谷さん、未だ言い合っている二人を見くらべ、黒田さんは言う。
「旧校舎を調べにきた人たち。校長がかき集めたみたいだよ。巫女さんとお坊さんだって」
なんと。あの人達は巫女さんとお坊さんだったのか。それにしたって派手だなぁ。
…いけない。見た目で判断するのはよそう。もしかしたらすごい力を持っているのかもしれないし。
まぁ、旧校舎に霊なんていないんだけれども。
今の私はあくまで何の力も持たない一般人。能力があることは隠しておかないと。
実は霊が見えます、なんて言っても信じて貰えないだろうし、面倒くさいことになるだけだ。
黒田さんは旧校舎にいもしない霊がいる！と騒ぎ立てるが、
巫女さんは「自己顕示欲」とばっさり言ってのけた。
ただ目立ちたいだけ、と言われた黒田さんは「偽巫女。今に後悔するわ」と漫画の悪役のような捨て台詞を吐き、その場を去っていく。
…ほらね？目立つとすぐこうなる。ちゃんと隠しておかないと。
「ところでナルちゃん。今日はあたし達、何すればいいんだっけ？」
黒田さんを見送り、谷山さんが言う？
というか、今渋谷さんに‘ナルちゃん’って言った？
「今…なんて言った？」
「何が？」
「お前、ナルって言わなかったか？」
「ちょっとしたミス。お気になさらず」
渋谷さんは問いつめるけど、谷山さんはしらばっくれる。
そりゃあそうだろう。こんなプライドの塊みたいな人に‘ナルシストのナル’なんて呼んでいることがばれたら怒られるだけじゃすまない。
「どこで聞いた？」
「ひょっとして、ナルって言うんだ。ニックネーム。やっぱねぇ。誰でも思いつくんだ。ナルシストのナルちゃん」
「は？」
「ま、気にしない 気にしない。──んで？何をするの？」
渋谷さんは釈然としない様子のまま、
「そうだな…これと言った反応がないんで、手の打ちようがないんだが」
と考え込んでから
「麻衣の先輩の───」
「あー。人のこと呼び捨てにしたー」
「お前もさっき言っただろうが」
…？
さっき谷山さんが言ったのは‘ナル‘というニックネームにすぎない。
なのに呼び捨てカウント？
よく分からないが、渋谷さんは何か隠しているのだろうか。
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作者名：あんみつ x他1人 | 作成日時：2023年3月13日 18時
