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第二章 ページ6

渋谷さんによると、約一週間前にうちの校長が、旧校舎に問題があると調査を依頼したらしい。


体育館を建て直すにあたり旧校舎を取り壊したいが、昨年来それができず困っていると。


「旧校舎には噂があって、工事に対して及び腰になる関係者がいる。過去に何度も取り壊そうとして、そのたびに事故が起きているとか。


噂にすぎないと周囲を説得して、昨年工事を強行したが、やはり事故が起こって中止せざるを得なかった」


「グラウンドにトラックが突っ込んだって話?」


谷山さんが聞くと渋谷さんはそう、と頷く。


『それで急行差の調査をしてほしいと依頼されたんですね』


「そういうことだな」


その後、私たちは機材を運ぶことになった。


旧校舎の空き地に一大のバンが停まっていて、渋谷さんはハッチバックを開け、ノートパソコンを弄ったる。


「機材を運ぶ前に、マイクを回収する。来い」


はい。と答える以外に私たちに出来ることはないので素直に返事をする。


車を離れていく渋谷さんの足下にはどこから引いてきたのか、コードがのたくっている。


旧校舎の裏手にまわると、校舎の壁面と塀の間、細長く延びたコードが目に付く裏庭は異常なことになっていた。


裏庭にはずらりとスタンドが立ち、旧校舎の窓の方に向けてマイクが設置されている。


マイクもカラオケで見るようなスタンダードなものではなく、テレビで見るようないかにもプロの機材、というようなものだ。


「谷山さんはマイクを外して集めてくれ。僕がスタンドを回収する。夜月さんは僕の補助をしてくれ」


どうやら右手が使えない私を気遣ってくれたようで、渋谷さんはなるべく私に負担がかからないようにしながらスタンドを回収していく。


その間も、谷山さんは質問が止まらない。


だが、渋谷さんはぶっきらぼうだが丁寧に答えていく。


…やっぱり根はいい人なんじゃないだろうか、渋谷さんは。


「ねぇ、幽霊屋敷って危険?」



「そういうものもある」


「危険なものだってあるのに、どうして十七やそこらでこんなことをやってるわけ?」


「必要とされているから」


言い切った!!


実際、必要とされていることに変わりはないのだろうが、それにしても謙遜のけの字も見えない。


「あぁら、すごいのねー。顔がよくて、しかも有能だなんてー」


谷山さんが思いっきり皮肉る。すると渋谷さんは谷山さんに振り向いた。

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作者名:あんみつ x他1人 | 作成日時:2023年3月13日 18時

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