3話 ページ4
．
翌日────。
土曜の昼、本当ならこの時間は兄とあってきっとたわいの無い会話をしてたと思う。
“ピンポーン”
静かな部屋に響くひとつのインターホン
「 はい 」
「 Aか、･････父さんだ 」
ほんの少し兄の期待を込めて声を出したが、その希望はあえなく散った。
お父さんさえにも10数年ぶりに合う。
「 なんのようですか？ 」
「 制服に着替えてくれ。行かないといけないところがある 」
久しぶりに会って嬉しいはずなのにそんな声はせず、
ただただ暗いだけの声が酷く私の心に響いた。
ドアを開け、言われたのは───────
．
“ 兄が死んだ ”
その一言だった。
あまり知らない兄のはずなのに何故か涙が溢れて止まらない。
少なからず私と血の繋がった兄弟なのだ。
「 お母さんは？ 」
「 ･････もう帰ってこない 」
「 どういうこと？ 」
「 ･････お前は知らなくていい、とりあえず着いてこい 」
今思えば、お母さんが言った最後の言葉だけは嘘ではなく、本当だったと悟った。
葬式が終わり、意識もハッキリしないまま一日が終わった。
お母さんはあの言葉を言った日以来家にはかえってこなかった。
それが高校生の私にとってどういう意味だったのかはすぐに分かる。
前までは分からないことが
分かってしまう年頃になってしまったのだ。
「 家は今まで通り、家賃は払ってあるから 」
と父に言われ、私はこのまま1人でこの家に住むことになった
何故兄は死んだんだろう。
どこで死んだんだろう。
そう遠くないところで何かと戦ったんだろうか。
私は兄の死について誰も教えてくれないことを知り、自分から調べることにした。
それが全ての始まりだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 21人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：見鬼 | 作成日時：2023年8月21日 18時
