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(汐恩side)
木全と付き合ってからAは前よりもよく笑うようになった。碧海や瑠姫も、木全がずっとAのこと好きって気付いてたから普通に接してる。
Aも周りに気を使う性格やから、俺らといる時は木全とイチャイチャしたりしない。そりゃ俺がいたら気まずくてできひんよな。
とりあえず俺らはこの関係が壊れないように過ごしてた。
祥生は俺のことを気にかけてくれてたから、たまに電話をくれる。今日も、窓から見える月がまん丸で綺麗やななんて黄昏てたら祥生から電話がきた。
祥生「で、どうなん？Aと」
汐恩「んー、なんも」
祥生「汐恩がまだAのこと好きなん見てて痛いくらいわかるで」
汐恩「…おん」
祥生「俺は、汐恩のこと応援してる。 …翔也のこと嫌いじゃないけど、俺は汐恩とAがお似合いやと思う」
なんか勝手にこんなん言うてごめん、と言って祥生は電話を切った。
「俺とAがお似合い、普通にうれしい」
呟いた声は1人の部屋に消えていった。
朝起きて、俺は原チャリを走らせてAの部屋まで向かった。Aの部屋は2階で、ベランダは道路に面してる。付き合ってた頃は、この道路から帰って行く俺のことをベランダで見送ってくれていた。
家にいるか分からん、もしかしたら木全といるかもしれんけどとりあえず勇気を出して電話してみた。
「…もしもし？」
汐恩「 あ、おれ 汐恩やけど」
「どうしたの？」
汐恩「近く通ったから、なぁ家おるん？」
「うん… 」
汐恩「ちょ、外みてや」
すぐにベランダにAが出てきた。Aは俺の好きなモコモコの部屋着を着ていた。俺はAが好きだったブラックコーヒーを、ベランダに向けて投げた。
いつもうまくキャッチしてたA、別れてから時間は経ってるのにちゃんとキャッチするAを見て自然と笑顔になる俺。
ちゃんとキャッチできたのが嬉してく、笑うA。
付き合ってた頃みたいで、懐かしくて、胸の奥がくすぐったい。
「ね、汐恩？今ひまなの？」
汐恩「めっちゃ暇やで笑」
「さっき洗面所の電球切れたの…嫌じゃなかったら治してほしい、です」
汐恩「ん、待ってて原チャリ停めてくる」
携帯を片手に持って、俺の方みて手を振って笑ってくるA。あ、俺が好きやったことしてくれてる。
玄関の扉を開けたら、笑顔のAが待ってくれてるはず。
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zunsucha(プロフ) - 木全くんのお話のパスワードお聞きしたいです。 (2022年6月26日 16時) (
レス) id: 705e92619c (このIDを非表示/違反報告)
nanako(プロフ) - とても良かったですTT泣いてしまいました。次のお話も楽しみでたまりません！ (2021年2月4日 8時) (レス) id: 9b745494ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：爪先 | 作成日時：2020年12月5日 23時
