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(汐恩side)
Aのことを思い出す度に、木全ごめんって心の中で謝ってる。
隣でお笑い番組見ながら爆笑してるA、
そういう飾らない所が好きだった。
たぶん、これからも好きだと思う。
「汐恩、どうしたの？」
汐恩「 ん？なんもないよ」
「元気ない…」
汐恩「ずっと元気ないよ、おれ。Aと別れて…」
別れてからこんなに早くAが誰かのものになるなんて思っていなくて、
気持ちの整理がついていない。
俺と付き合ってた頃、よく通ってた川沿いの道を木全とAが歩いてるのを見て
何とも思わへん訳がない。
Aの隣は俺じゃないんやって思うと苦しくて死にそうになる。
「なんで…あの時、元カノと部屋にいたの…？」
汐恩「 それは… 」
「汐恩が思ってるほど私は良い子じゃないし嫉妬もするし、元カノのこと消えろってずっと思ってた…！」
何も言えなくて黙る俺、反対にAは段々と感情的になる。
「あの子、わざと汐恩の部屋で寝てたんだと思った、私のいない所で何してたか…私には見えなかったのがすごく嫌だった…！」
汐恩「信じてるとか言って、信じてへんかったやん」
「え？」
汐恩「… 俺のこと、信じてた？」
「信じてたよ…？」
汐恩「口だけやん、それ」
「もう汐恩の顔見たくない…っ」
汐恩「言われんでも出て行く」
原チャリのキーと上着を持って、玄関へ向かう。
付き合ってた頃によくしていた喧嘩に似てるけど、
今日はAが追いかけて来ない。
ごめんねって謝って、後ろからハグしてくれない。
ハグの代わりに、Aが言った。
「やっぱり…、別れてよかったんだよ私たち」
帰り道、川沿いの道を通るとAと見た桜を思い出す。
もう来年はAと見ることができない桜。
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zunsucha(プロフ) - 木全くんのお話のパスワードお聞きしたいです。 (2022年6月26日 16時) (
レス) id: 705e92619c (このIDを非表示/違反報告)
nanako(プロフ) - とても良かったですTT泣いてしまいました。次のお話も楽しみでたまりません！ (2021年2月4日 8時) (レス) id: 9b745494ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：爪先 | 作成日時：2020年12月5日 23時
