七十六話：理解の拒否、ロスト ページ28
雫視点
『やめろ。』
冷たく響く。
長ったらしい思考を垂れる回路は、この一瞬でショートしたようだった。
『手を放せ、今すぐに。』
視点が動いたことを、辛うじて理解した。
『早く。』
気が付くと、首元に水流を当てていた。
行動と理解が追い付いていないことを、たった今理解した。
ノイズが走って、頭が上手く機能しない。
それでも言葉は自然と口から漏れ出す。
『早くしろッ！！』
つんざくように叫んだ。
ただ変わらず無表情で目の前の彼が呟いた。
？？「勿体ないな、水血。」
何を言ってるのか、理解を拒んだ。
？？「感情をまるで制御できていない。」
わからない。わからない。
？？「最も、自分の状態を把握できないようじゃ、全くの無意味だ。」
次の瞬間、いや、数秒前のことだったのかもしれない。
首元の違和感と同時、意識が暗転していた。
＿＿＿＿＿
＿＿＿
＿
カゲ視点
何があったのか、頭は理解していた。
脳が理解を拒んでいた。
シディに続き、雫も…やられた。
鮮紅色の血が、脳裏にこびりついている。
次々と仲間が倒れていく光景をただ見ているのは、苦痛の二文字だけじゃ足りない。
耐えがたい。
大切な人が奪われるのは、もう…
カゲ「や、やめて…もうやめてください…もう…俺から…奪わないで…」
？？「また懇願か。本当に進歩がない。」
喉から絞り出した声に、あきれた様子で鈴の吸血鬼が言った。
シデ「ソレは懇願じゃない。脅しだ。」
突如、聞きなじみのある声が、聞きなれた声が辺りに響いた。
？？「…！！」
かすかに、ソイツの表情が変動した。
シデ「ヒサメから…手を放せ…」
俺でさえいやというほど彼の殺気を感じる。
シデ「その手が動く前にお前の心臓を潰す…！！」
それくらい、それは強いものだった。
？？「アヌビスの本気の一撃にも立ち上がるんだったな。」
バッとヒサを手放した。
？？「…腐血、期待外れだ。」
言葉に詰まった。言い返しようがなかった。
実際、俺は何もできてないから。
？？「ゾンビにされたともが泣いているぞ。」
カゲ「＿っ！！」
その言葉は絶望に陥れるのは容易く、酷く心をえぐった。
最初から何もそこに存在してなかったように、ソイツはコウモリとともに去っていった。
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アライラスカル(プロフ) - コメント失礼します！今更ハマった民ですが、すっごく面白くて…一気に3まで見入っちゃいました！日常編もストーリー編も絡んでいて楽しかったです！夢主も強くて優しくて、めっちゃ好きです！今更なコメントですが、続き待ってます！！ (5月31日 23時) (
レス) id: 63216eab75 (このIDを非表示/違反報告)
憐華 - これ、めっちゃおもろいｯｯｯ！！！！！(ビッグボイス)いや、もう、本当に面白い、うん、語彙力の欠片も無いぐらいになるぐらい面白い、うん、(？)すｯｯｯごい面白いです！！！！！更新頑張って下さい！！！！！カゲがかっこよすぎて死んだ！！！！！ (2023年4月20日 1時) (レス) @page31 id: fab616ee26 (このIDを非表示/違反報告)
みつばち82(プロフ) - まってまってめっちゃ面白いやばいてこれ。続き見るまで寝れませんよこれ。えーカゲかっこいい…夢主もすきすぎる…これYouTube本編で満足出きるか解んないくらいすき。続きどこですかー?!(゜Д゜≡゜Д゜)? (2023年4月16日 14時) (レス) @page31 id: f18241e44c (このIDを非表示/違反報告)
カレコレLOVE - 鈴の吸血鬼（アザミ）様が好きなので、2期がすごい楽しみです！頑張ってください！デ・バルボア様もカッコイイ… (2022年6月6日 6時) (レス) id: 03cfc00a81 (このIDを非表示/違反報告)
陽炎/蜃気楼(プロフ) - カレコレLOVEさん» 大変嬉しい御言葉誠にありがとうございます！一度決めたらやる人間なので、ストーリー編二期は完全にやるつもりです！！今後ともこの小説をよろしくお願いしますm(_ _)m (2022年6月6日 6時) (レス) id: 1e4e5c90eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：陽炎/蜃気楼 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/1210kagero1/
作成日時：2022年4月11日 18時
