番外編:バレンタイン ページ4
「今年もスゴいね♤」
Aの屋敷へと訪れたヒソカは、居間の中央で寝転がっている彼女に苦笑した。
堆くそびえるチョコレートの箱に取り囲まれたその光景は、いかに彼女が世界中の男を手玉にしているかを物語っている。
その中央でAは、フィアスに箱を開けさせながら気に入ったもののみを口に運んでいた。
「こちらは店のものにも見えますが、お抱えのシェフに作らせた自造のものですね」
「捨てて」
ヒソカに気づいたAは、起き上がりながらぴしゃりとそのチョコレートの行く末を断言した。
今日の衣装である黒のミニドレスから白い足を見せ誘惑するようにヒソカに意地悪な笑みを見せる。
「…自分でこしらえたものは何が入ってるかわからないからね
そこの変態が去年馬鹿な薬をいれたように」
「特別な日の特別な夜にするための薬じゃないか♡」
ヒソカは贈り物の山を1つ退かしAの正面に胡座をかいた。
「当たり前のように男からチョコレートをもらうんだから
お返しなんて概念もないのに♢」
「あんたも毎年持ってくるじゃない」
マトモな方が少ないけど。
そう言いながらAは彼の胡座の中に小さな頭を収めてまた寝転んだ。
あ。
と口を開けてフィアスが選考し終えたチョコレートを催促する
ヒソカは目尻をさげにんまり微笑みながら、睨むフィアスを無視してチョコレートを奪い、彼女の口に放り込んだ。
既にたっぷりのチョコを嗜んでいたAの唇には子供のように溶けたそれが掠めていたが
ヒソカが拭い無駄にゆっくりと舐めとった。
「どれも同じようなモノに思えてくる
見た目が綺麗なら食べなくもないけど…
ああフィアスそれダメ、3つ前が同じ店だわ、同じのは食べるつもりないの。
…で、あんたは何持ってきたの」
Aは気がついたようにヒソカを見てそう言った。
ヒソカはにこっと笑い、背に隠していたチョコレートをAの真上にかざした。
「…。
ふざけてる?」
それは、売店で子供がよく買う大袋の1番安いミルクチョコレートだった。
もちろんAが好む宝石のような綺麗さは微塵もないが、眉間に皺を寄せたAを見てもヒソカの笑みは変わらなかった。
「どれも同じように感じるって言ったのは君だろ♢
…それにこれは、小さかった君にとても馴染みがある」
黙るAの口に、その安いチョコレートはねじ込まれた。
…あ。
そして今日初めて、同じチョコレートがAの口に再び放り込まれたのだった。
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まりん(プロフ) - 続き書いてください!!お願いします! (2022年10月1日 17時) (レス) @page7 id: f7a1345d2d (このIDを非表示/違反報告)
かすみ(プロフ) - めちゃくちゃ好きです!!!アダルトリオと幻影旅団のからみ待ってます!!! (2022年2月8日 12時) (レス) @page7 id: e53abe021c (このIDを非表示/違反報告)
ホシ(プロフ) - この展開結構好きかも……続き楽しみに待ってます。 (2020年5月31日 23時) (レス) id: 1713eba148 (このIDを非表示/違反報告)
眠り姫なう - やっばアダルトリオ神だわ…更新頑張って下さい! (2020年5月26日 10時) (レス) id: 27d563ce86 (このIDを非表示/違反報告)
ひはる(プロフ) - ピトーさん» 遅れてすいません!!ありがとうございます!できる限りのペースで頑張っていこうと思いますのでどうぞよろしくお願いします! (2020年4月25日 1時) (レス) id: 0be45b8a6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひはる | 作成日時:2020年1月1日 1時