【歌い手】雨、咲かせ。【まふまふ】

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URTNK side



きっと、俺と坂田は初めてだった


壊れてしまった真冬を見るのは。



雨に濡れて、綺麗なアッシュグレイの髪が
病的に真っ白な頬に張り付いている

閉じている瞳は綺麗な茶色の筈
睫毛は長く、彼の綺麗な瞳を縁取っていて
苦しそうに曲げられた眉毛も整っている


女の子なんかより細い腕には、筋が浮くほど力が込められている

歌う為に、叫ぶ為に開かれた唇は何もしてない筈なのにチェリーピンクに濡れていた



それで、叫ぶ様に悲痛な声をあげて歌っているんだよ。

きっと、聞いた事ないメロディだからImpromptu(アンプロンプテュ)なんだろう。
奇妙に揺れる音程と、耳を劈く様な高音
常人には歌えない様なピッチ、そこから転調して想像もできなかったバラードと低音



_____ 全てが、真冬そのもので、

止めなきゃいけないってわかってるのに手足が動かない
その姿がどうも惨めで...。

凄く凄く、



『綺麗なんだ。』


今まで見た事が無い程強いオーラを纏って光り輝いてる。

濡れたシャツは彼奴に張り付いて離れようとしない
雨が、一層強くなった

彼奴が輝く世界を創る様に。


雨の音に、叫び声(うたごえ)が飽和して無くなる
音符が、シャボン玉みたいに浮いては弾けた
色が、浮かんでは透明になって

目が、耳が、全てが彼奴の世界に侵食されて行って。



隣からは、優しい嗚咽が聞こえた、


「うっ、ぇ...ｯひぐ、ｯ、」
「坂田...泣くなよ。」

「う、らたさんだっで、泣いてるｯ...う」

坂田は傘を肩に掛け、溢れる涙をしきりに拭ってて。
苦しそうだけど、無意識に涙が流れてるみたいな、



ぽた...、

傘を持つ俺の手にも、暖かい水滴が落ちて。








嗚呼、俺も今 泣いてる _____。

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