敗戦の報せ ページ1
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私が、否 。私たちが命を懸けて護った国が 今 「 落ちた 」
そう今この瞬間、城の頂上に刺さった旗が小さな音を立てて折れたのだ。
闘いの前線から、落城を見ることしか出来ない私は 本当に頼りない騎士隊長だと思う。
── 私は、２４歳という若さながらにして 騎士隊の統率を取りながらも国王側近という何ともオイシイ位置に就かせて頂いている。
それ故に上司にも部下にも白い目で見られ、挙句 国王からの信頼も少々手薄なものになってしまうのだ。
…まぁこれももう、過去形に過ぎないわけで。
取り敢えず、今回の戦争の敗因はここにあると見た。
と、今更ながら考察を置いておくことにする。
気付けばそこかしらから敗戦の報せが届いて、それと同時に我々国の兵士達は武器を下ろした。
そして、ウチの国にひとつ敬礼を残して去っていく。
それが何だか悔しくて、なんだか ” 負けた ” という感覚が漸く心の底から湧いてきたのだった。
ほぼ目の前、と言っても過言ではない位置にある国王の死体を見て私は顔を伏せた。
少し伸びた黒髪に、驚くほど白い肌。そして端正な顔立ち。
嗚呼、現実を受け止めなければならないのですね、国王さま _____ 。
視界が滲んで、膝から地に足をつく。
と、同時に視界の端に映り込むのは黒い革靴。
漆黒に濡れて艶々と輝く革靴は、綺麗が過ぎて もうまるで戦場には似合わない。
「 やあ、こんにちは！ 」
そして、私はこの声を知っている。
鼻にかかるような特徴的な低い声 、少し嫌味な物言いと クツクツって笑い方。
そうだ、この人は 、
「 グルッペン・フューラー様ですね …。 」
私が顔を上げると 細められた紅眼と、かち合う視線を簡易的に和らげる黒縁のレンズ。
黒の軍服は、まるでもう彼の一部だと言わんばかりに体に馴染んでいて。
金色の髪を、さらに鮮やかに見せる。
艶やかな視線は、私を舐め回すように動いていた。
「 お前にひとつ、良い話があるのだが。如何かな？ 」
「 良い話と、言いますと？ 」
双方笑みを崩さずに、適切な答えを吐く。
ぎこちない会話だが、そこはもう戦場から浮いている。
２人だけの空間を感じた。
「 我々国で、働いてみないか？ 」
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