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俺は彼女がいる。
ただ…俺が言うのもアレやけど
まぁ俗に言う
"クズ女"
ってやつ。
じゃあ何で付き合ったかっていうと俺の気持ちやない。
親が早く結婚してほしいからと縁談を持ち掛けてきた。
その相手が今の彼女。
要はそこに恋愛感情なんてなくて親の期待に応えたかっただけやった。
何回も浮気されて嫌やのに
他の男でも良いくせに
俺のところにすり寄ってくる。
今更、別れるなんて無理やろ…
逃げたいのに逃げられない…
まるで生き地獄のようやった。
自分が情けないと、
自分だけが惨めな思いをしてんやと、
常に責め立てていた
そんな時やった
フラフラした足取りでこちらへ向かってくる女の人がいた。
赤信号やっていうのに…
幸い横断歩道が長かったのと彼女が横断歩道の手前に着くタイミングが遅れたのもあって助かった。
ただ…放っておけなかった。
本能的にそう思った。
全く知らない赤の他人のはずで…
どうでもいいはずなのに…
勝手に体が動いていて…気づいたら店に連れ込んではった。
少し罪悪感を覚える。
いくら恨んでいるからとはいえ自分には嫁が居るから…。
俺は彼女の話を聞いた。
仕事の辛さから街に出て忘れようとしたらしい。
俺も仕事に関してはめんどくさいなどとよく思うので共感できた。
なんとなくこの人とは波長が合いそうな気がして
―――――――――どうすれば振り向いてくれるんかな、と
気になってしまった。
彼女を家に送る。
『あ、あのっ！連絡先…交換しませんか？』
「ん、ええよ。」
彼女と小さな関係を持てたことが嬉しかった。
彼女は誰を想って
何が心を動かして
何が嬉しいことなのか…
彼女の事を１から１０まですべて知りたかった。
暇があればたまに連絡したりして…離れていても励まし合った。
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作者名：亜寿霞 | 作成日時：2023年8月6日 20時
