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ゆらりと立ち上がった"誰か"は、白い肌に青い目を輝かせて和傘を肩に担いでいる。
ああ、そうか。
奴らの言った"彼"は、春雨の秘密兵器の事だったのだろう。
『第7師団団長 神威』
宇宙最大の戦闘種族"夜兎"
そして、そんな恐れられる種族のみで構成される春雨第7師団。一人一人の戦闘力はもちろん、団長ともなると生物的に存在して良いのか、と思うほどの強さを持つ。
しかし、目の前の彼からは不思議とそんな物々しいオーラは感じられなかった。
「あいつらが言ってた侍の女の子って、君のことだよね?
へぇー。思った以上に小さいねー。
未来ある子供は好きなんだ♪だから出来ればあいつらに引渡したくはないんだけどー………。
君を引き渡せば本気の君と戦わせてくれるって言われたから、従うことにしたよ♪」
少しあどけなさが残る顔を輝かせて、神威はにこりと笑った。
「あいにく、まだ捕まるわけにはいかねぇんだ。
いくら厳しい状況になろうとも、ぜってぇ五体満足で勝ってやるよ。」
それを見て神威は微笑んだ。そして、周りの天人に颯天に向けた以上の殺気をぶつけて口をうごかした。
"失せろ"
本当に口を動かしただけ。声は出さなかった。
だがそれが逆に『最後の忠告』を表しているようで、みな我先にと逃げていく。
「あーあ。
これだから腰抜けは嫌だよねー。
刃向かうやつが何人かはいても良かったと思うんだけどなー。準備体操に♪」
神威がトントンと片足で2回ほど跳ねたのを合図に、2人の武器がぶつかりあった。
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作者名:霜夜 椿 | 作成日時:2018年6月14日 6時