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江戸中央学校三階校舎側廊下の突き当たり。何があるという訳では無いのに、数メートル、横にに廊下が伸び、謎のスペースがあった。
授業中だと言うのにそこにじっと身を潜めるものが1人。
「何を話しているかまでは聞き取れませんでしたが、誰かと連絡を取っていました。確証は得られませんが恐らく焔の幹部かなにかでしょう。」
「ええ、そうですね。
焔は大きな勢力です、そう簡単に動くことは出来ないでしょう。次のテストより早く来ることは考えられません。
少しずつ情報を集め、地道に対処していくしかありませんね。」
「はい、失礼します」
先日の一件で理事長が焔と関係を持っていることを知った颯天は、真選組の隊士として学校に潜伏していた。
警戒態勢を強めている彼らの近くに何かを仕掛けることは困難だ。遠目に行動を監視したり、理事長が歩くであろう廊下や教室に盗聴器を仕掛けたり、地道に情報を収集していた。
ここに誰かが来る可能性が低いとはいえ、ここは窓も扉も姿を隠せる場所もない。あと数個盗聴器とカメラを仕掛けて今日は引き上げよう。帰って盗聴、盗撮したものを確認し、情報を整理しよう。
そう思って立ち上がった時だった。
キュッキュッ
廊下を誰かが歩く音。その音はこちらへ少しずつ近付いてくる。
音の感覚や長さから推測できる歩き方は、理事長には当てはまらない。恐らく男。
逃げることは諦め、颯天は角に蹲る。
キュッキュッキュッキュッ
確実にこっちに向かっている。靴の種類からして教員だ。
キュッキュッキュッ
「…………え、あれ!?颯天!?」
目の前に現れたのは颯天のクラスの担任、土田だった。
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作者名:霜夜 椿 | 作成日時:2018年6月14日 6時