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「確保17、取り逃し0。
お見事、お手柄ですぜ。」
「そりゃどうも。」
「見廻組の女副長より優秀でさぁ。
アイツは取り逃しはゼロでも、姫さんとの交友関係建築技術がゼロだったからな」
「へぇ、そうなんですか」
適当に返す颯天。
そよ姫護衛の任務から帰ってきて、武器の手入れをし始めた颯天。特に疲れているというわけではなさそうだが、沖田に対して適当に相槌をしていた。
そしていつも通り、それに面白くなくなった沖田がからかい始めるのだ。きっと上手く流される。
沖田は分かっている。颯天がそう易々と自分の手によって転がされることが無いことを。しかし最近ではそのやり取りが結構気に入っていたりする。
「また、いつもの演技で騙してたのかぃ？
よく飽きねぇな、お前も。」
「私は赤子並みに飽きっぽい沖田隊長と違いますからね。」
とか
「思ったままをぽろぽろこぼす脳筋じゃありませんから、沖田隊長みたいに。」
とか
そんな言葉がかえってきて、口論になって····
そうなるはずだった、
のに
颯天からは何も返ってこない。
何故か気まずくて顔まで視線を持ち上げることが出来なかった。
心無しか、颯天の手の動きが鈍くなった気がする。
すーっと深めに息を吸って、ようやくちらりと顔を盗み見た。
そこには、哀しそうに歪んだ瞳があった。
声をかけようとしたその時
「颯天!!いるか!?」
土方の声だった。今日の任務のことだろうか、それともそのほかの仕事のことか。
「あ、なんか呼ばれてる。
それじゃ沖田隊長、失礼します」
ハッとしたときにはもう遅い。
既に颯天は立ち上がり、廊下の先にその姿を消そうとしていた。
声音も、ちらりと見えた瞳ももういつも通りだった。取り繕ってはいないように見えた。
分かりかけていたと思ったのに。
「やっぱ、分かんねぇや。お前の事。」
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作者名：霜夜 椿 | 作成日時：2018年6月14日 6時
