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「そよ姫の警護・・・」
「あ"ぁ。最近そよ姫はお忍びで外出することが増えたろ。
町に馴染む警護、颯天ちゃんにぴったりだろ?」
癖のある喋り方、松平だ。
ここは警察本部。近藤は松平の呼び出しでここに来ていた。局長である自分が出向くのだから、真選組全隊が動く命かと思ったが・・・。
指令内容は颯天一人に対するもの。将軍の妹の護衛だった。姫と颯天は同年代。そよ姫が馴染みやすく、また町に出たときに正体を隠しやすいから彼女が命を受けたのだろう。
「ああ、分かった。
だがとっつぁん・・・
どうしてそれを颯天に直接言わないんだよ。」
「い、いやぁ・・・それは・・・・」
途端松平はその悪人顔を情けなく歪めた。
「おじさん、颯天ちゃんのこと怖いんだもん!」
目は潤み、たくましいからだをモジモジとさせるその様子は、はっきり言って・・・・気持ち悪い。
少し引き気味の近藤に対して、松平はすがるように「お願い!お前から颯天にいっといてくれぇ!」と念を押して何度も頼み込んだ。
「わ、分かったよ。
だから、はーなーれーろー!!」
いつもの近藤もこれに負けず劣らず気色悪いのだが、自覚のない彼は取り敢えず松平から離れようと頷きもがいた。
「ほんとに!?お願いねー。」
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「と、言うことがあってだな。」
「いや、経緯はいらなかったです。
聞きたくなかったです。」
ここ数日、土方に書類仕事の半分近くを任せてもらえるようになった颯天は、もう自分から仕事をせがむことも少なくなった。
しかしまだ、仕事が多いに越したことはない、と思っているよう。
「まあ・・・とにかく。
そよ姫の護衛、やってくれるか?」
「ええ、勿論」
近藤の予想通り、颯天は二つ返事で指令を受け入れた。
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作者名:霜夜 椿 | 作成日時:2018年6月14日 6時