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「へぇ、旦那とこいつが幼馴染みねぇ。
・・・てめぇらに稽古つけた奴は、いったいどんなやつだったんだか・・・」

ようやく病院から解放され、颯天は道場で沖田と雑談をしていた。鍛練を怠らない隊士達は、休日の沖田と颯天に「稽古をつけてくれ」と頼んだのだ。
そして今は休憩中。心地の良い竹の音に思考を委ねながら、お互い思ったことをそのままポロポロ溢していくだけ。

「ぜひ俺の相手もしてほしいもんでさぁ」

「え?是非是非!
今すぐ自害していただければ、きっと会えますよ?」

颯天は声音だけを怖いくらいに高くして皮肉るが、沖田はいつものように言い返すことができなかった。
颯天の言葉の意味はその人物が既に死んでいるということ。
颯天の表情から感情は読み取れなかったが、下手に出ようという気にもなれない。沖田は隊士の方へ向かうことでその空気から逃れた。

「どうしてこう、皆さん罪悪感を抱くんでしょうか・・・。あのとき沖田隊長が遊んでいようが、勉学に励んでいようが、死んでいようが、生きていようが、あの人は死んでいましたよ。
そうでしょう?」

「ガッハッハッハッ、やっぱりバレてたか。」

背後から聞こえる笑い声の正体は近藤だった。少し前からこちらの様子を伺い、会話を聞いていたのだ。

「ほんとにお前には隙がねぇなw」

口を大きく開けて笑う様子は、とても局長という立場には見えない威厳のないものだったが、不思議と兄貴分のような頼もしさがあった。

「総悟はそいつの生死に対して責任を感じたんじゃねぇよ。
そいつは颯天にとって大切な人だったんだろ?思い出させて、辛い思いさせたんじゃねぇか、って自分の言動を恥じたんだ。」

なんだか小さな子供に善悪を教えているような、ゆっくりとしたペースで話し始める近藤を、颯天は理解できなかった。

「御気遣い、痛み入ります。
しかし、どうぞ構わず。
そうお伝えください。」

そろそろ沖田の無双に皆が体力を消耗しきる頃だろう。自分の役目はもう果たした、と、颯天は近藤に深々とお辞儀をしてから、その場を立ち去った。

「分かってねぇなぁ。
やっぱ、まだ子供なのかねぇ。

例え、お前のことを一番理解しているのがお前だとしても、お前がお前のすべてを知っているかというとそうじゃねえ。」

井の中を知らない蛙。
近藤はそれが颯天にぴったりな言葉だと思った。

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作者名:霜夜 椿 | 作成日時:2018年6月14日 6時

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