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「・・・高杉晋介の、な」

和やかな日常が、張り詰める空気に弾き消えた。

『高杉晋介』

攘夷戦争の激戦区、最後の砦。その中でも化け物じみた強さを誇った五人。白夜叉、桂浜の竜、狂乱の貴公子、捷疾鬼、そして鬼兵隊総督 高杉晋介…。
戦争後、一度幕府に捕縛されたが、同時期に捕縛されていた河上、幕府側として彼らの監視をしていた武市、幕府に憎しみを持ち仇をうとうとしていた来島、三人と結託をして逃亡。現在は鬼兵隊を再結成し、国家転覆を狙う、過激派攘夷浪士である。

これまでにない激しい戦いになるやもしれない。顔をもたげ、宙を見つめて恐怖を露にする隊士まで居る。そんな中、山崎の隣には妙に眼光を光らせる颯天。しかし誰もそれに気づくことはなかった。

「高杉の動向を探るには、民間人に扮して見廻りをしなきゃなんねぇ。各隊から数人で良い、そうガタイのでかくねぇのを出しておけ。
その他は、全員将軍の警護。山崎は高杉の情報を集めろ。くれぐれも気を緩めんじゃねぇぞ!!」

「「「おおおお!!!」」」

一通りの話がまとまり、早くも皆が目を血走らせ始めている。そんな中、静かに手が上がった。

「少しでも人員が必要そうですね。俺も使いません?」

この場の空気に似合わぬ、軽い笑顔を浮かべているのは颯天だ。

「てめぇは手薄になったここを・・・」

「盗聴、されてたみたいですよ?」

ぽい、と宙に弧を描いて土方に投げられたのは、少し潰れて歪な形をした直径一センチほどの丸い鉄の塊。

「そこの壺の裏でした。俺が気付いて破壊したのが、ちょうど皆さんが雄叫びを揚げたときですので、作戦は漏れているかと。それが鬼兵隊のものだと裏付ける証拠はありませんけどね」

颯天はそういうのだが、祭りの主要警備にあたる真選組にこのタイミングで盗聴機。鬼兵隊の仕業である可能性がひどく高い。

「作戦を変えたとしても、きっと男のみで祭りをまわっている者への警戒は免れないでしょうし、こちらの動きも鈍ります。今の作戦が最善なのですから。
そこで、俺が動いては駄目でしょうか。自分で言うのもなんですけど、観察力も記憶力も行動力も皆さんには大きく劣らないと思いますし、女子供なら警戒もされにくいです。」

「どうです?」と小首を傾げて土方に視線を送った。ここまで言われれば土方に選択の余地がないことなど分かりきっているだろうに、あくまで颯天は控えめな姿勢をとっていた。
土方には項垂れながら、首を縦に振ることしかできなかった。

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作者名:霜夜 椿 | 作成日時:2018年6月14日 6時

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