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キーンコーンカーンコーン

終鈴が鳴り終わるのを待たずして、生徒たちは鞄を乱雑にひっ掴みそれぞれの活動場所へ走っていく。放課後、部活が始まる。
まだ部に所属していない颯天はそんな様子を横目に、それほど大きくない風呂敷を抱え、大きく手を振る少女のもとへ歩み寄っていった。
これから彼女の案内で茶道部を見学することになっている。颯天は見学などせず早く入部をして部活をさぼってしまいたいのだが、まさか彼女の好意を突っぱねるわけにもいかない。親しげに微笑んでいる彼女の指示通りに動くべきが現在の最善だろう。

「じゃあ、茶道部にご案内〜!」

大きな身ぶりで嬉々として歩いて行く天。もともと明るく親しみやすい性格なのだろうが、流石に多少は颯天に気を使っているようだ。颯天はいまだ同い年に対して敬語が抜けないようだから無理もない。
颯天もまた彼女に気を使わせないように親しげに接するよう心がけてはいるのだが、今さら急にため口で話始めたら不信感をもたれそうだ。颯天は今まで同年代の子供と接してこなかった自分を恨んだ。

「あ、僕もいく。一応副部長だしね。」

教室を出ようと引き戸に手をかけた二人に歩み寄ったのは亀竜だ。内心ほっとした。二人きりになるとどうもボロが出ることがある。怪しまれれば怪しまれるほど明日からの不登校生活に感じる不信感が大きくなるだけだ。
なるべくは、少し気の弱いことだけが特徴の普通の女の子として振る舞わなければ。

「颯天ちゃんは得意なスポーツとか、弾ける楽器とかはないの?」

「えーっと、運動全般人並みにできる方だと思うのですが、部活としてはあまりやりたくなくて」

過大評価も過小評価もこの場合、得をすることは無いだろう。

「じゃあ英語に興味は!?」

「あまり得意じゃないので授業の分だけでお腹いっぱいって感じです。お誘いいただいたのにすみません。
今のところは茶道部にはいって、ちょこちょこ顔を出す気でいます。」

「すみません」と頭を下げかけて止まる。同級生に頭を下げる子供がどこにいる。
何とか自然を装って体勢を戻し、控えめな笑顔をつくって顔の前に両手を合わせた。そしてその手の後ろからひょこっと顔を出して「ごめんなさい?」といえばまだ親しいとは言えないものの、少しずつ打ち解けてきた転校生の女の子の出来上がりである。

「こっちこそ、急な勧誘困ったよね」

「いえ、嬉しく思いましたよ」

いつの間にか一行は本館を後にしていた。

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沖田ファン - プロフィールの高杉晋助の漢字が違いますので、訂正お願いします。 (2019年3月2日 15時) (レス) id: a06ab380f4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:霜夜 椿 | 作成日時:2018年4月8日 9時

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