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「あー……どないしよ。」
あの後、指輪のサイズを確かめてくることを厳命された俺は
いろんなことを考えながら岐路についていた。
実際、結婚したいと思い始めたのは結構前からで
やっぱり30歳という節目だからと、決意したのは良いものの……
「いいものを、って思うと悩むよなぁ……」
家のオートロックを解除して部屋に向かう。
さっきからスマホがひっきりなしになっているのは
仲間たちがアイディアを出してくれてるか、面白がっているかのどっちかだろう。
「ただいまー」
「おかえりー、早かったね。今日皆と会ってたんでしょ?」
「んー、うらさかが予定あって解散になったわ。」
「なるほど。」
じゃあご飯温めちゃうね。そういってキッチンに向かおうとする彼女の手を引いて腕の中に閉じ込めて、あー…あったか。なんて、Aのぬくもりで暖を取る。
彼女はいきなりのことに驚いたのか固まっていて、それをいいことに肩口に顔をうずめていく。
「ちょっと志麻君!?」
「外寒かったんや…暖めてやー」
「それならリビング行った方が……ひゃあ!?」
「色気ない声やな……あいたっ!?」
「うるさい、志麻君の変態!」
ちょっと悪ふざけして、首元を甘噛みしてからかっていたらAの顔は林檎さながらに赤く染まっていた……かわえぇなホント。
ばっかじゃない…なんて、そんな赤い顔で言われてもむしろそそるだけなんやけどなぁ。
なんて思いつつ、はたかれた頭をさすりながら彼女を追いかけていく。ふわりといい匂いがリビングに立ち込めていた。……今日はこれシチューやな。
「パン?ご飯?」
「パン一択。」
「だよね。」
そういいながら支度をしてくれる彼女。その間に俺は手を洗って楽な格好に着替える。
その後はAにちょっかい出しながら夕飯の支度を手伝っていく……んやけど。
指のサイズってどうやって調べればえぇんや……さりげなくって無理やろこれ。
「志麻君?」
「へっ?」
「どしたのボーっとして、ご飯できたよ?」
「あ、ん。食べよか。」
「……変なの。」
怪しまれたら終わりやん、俺。サプライズのプロポーズだけは譲れへんのやから。
隠し通せ、頑張って指のサイズ測れ俺!!左手の薬指の…サイズを……!
「ん、相変わらずうまいなぁ。」
「ふふっありがと。」
絶対に表には出さないで、平常心で。
志麻のミッション…まだクリアできそうにないです。
ミッション『Aの指輪のサイズを測れ!』
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ちょこ - とてもよかったです!その後話が欲しい! (2021年9月17日 1時) (レス) id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
あかはね(プロフ) - キュンキュンさせて貰いました…。志麻くんかっこよすぎません?← (2019年12月2日 17時) (レス) id: e76134e0bd (このIDを非表示/違反報告)
ポン酢(プロフ) - めっちゃよかったです! (2019年12月2日 16時) (レス) id: 76be53e752 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Elice | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/Elicelist/
作成日時:2019年11月24日 16時