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Aはタバコを灰皿に押し付けて火を消すとスマホを取り出して電話を掛けた。




「…ご無沙汰してます、Aです。
 はい、変わりなくやってます。


 実は少しお力をお借りしたいことがあって…


 近いうちにお時間作って頂くことは
 出来ませんか??


 …それでは3日後に。お会い出来るのを
 楽しみにしてます。よろしくお願いします。」




電話を切ったAはカバンを肩に掛けてホテルを後にした。


仄暗い目で真っ直ぐ前を見据えると、ヒールをカツンと鳴らして夜道を進んだ。


途中ふと足を止めて、ぼんやりと空に浮かぶ霞みがかった月をその目に映した。




「…見ててね、お兄ちゃん。
 今度はわたしが、あの人のこと
 滅茶苦茶にしてあげるから。」




そううっとりするほど甘く囁き、蕩けるようにその目を細めた。





「しかし、こうも引っ掛からねぇもんとはなー。
 Aチャン、ホントにカタギの女かぁ??
 隠れんの上手すぎんだろ。」




あれから3日が経った。


波音たちに話したように竜胆には内密に、蘭はAの行方を探していた。


直属の部下数名にAの写真を提示して、ホテル付近や街を探させた。


接触も尾行もせず、ただ姿を探せと指示を出して。


元々夜に行動すると本人からも聞いていたために時間を夜に絞ってみたが、一向に姿すら捉えられないでいた。


明け方に自宅マンションに帰った蘭はタバコに火を点けて、大きな窓からしとしと降る雨を眺めた。




「…そういうことね。」




思い至った蘭はスマホを取り出して、徹夜で仕事をしているであろう同僚に電話をかけた。




「…はよー。ちょっと頼みたいことあんだよね。」



『無理。』



「おいおい、そんな冷てぇこと言うなよ。」



『…いくらで??』



「俺が知りてぇことちゃんと拾ってくれんなら、
 報酬は弾むぜ??」




一瞬、考えるように黙った電話口で渋々口を開く。




『…どういった用件だ??』



「Aって27歳の女のコのこと
 調べて欲しくてさ。


 cherishってキャバクラにキャストじゃなくて
 非常勤で働いてる。このコの詳細は必要ない。


 本題はここから。
 このコの血縁者にオジさんがいんだわ。
 身代わり出頭して、務所に入ってたらしい。


 最近出てきたばっかりですぐ分かると思う。
 このオジさんが務所に入る前と出てきてから
 繋がってる組織について調べてくんね??」




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YUMi(プロフ) - ゆんこさん» ゆんこさん、新作見てもらえて嬉しいです!!期待に添えるように頑張ります(⁠◔⁠‿⁠◔⁠)性格悪めは書いてて楽しいです笑 (2022年11月13日 16時) (レス) @page4 id: 85b1561d95 (このIDを非表示/違反報告)
ゆんこ - 新作待ってました!性格悪い夢主ちゃんいいですね!!これから楽しみにしてます!無理をなさらず頑張ってください!! (2022年11月12日 22時) (レス) @page2 id: 8a5959758c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:YUMi | 作成日時:2022年11月12日 18時

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