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10分は掛かっていないだろう


エントランスを抜けて最上階まで
エレベーターで一気に上がる。


10年前に竜胆と住んでいたマンションは
20歳のときに引っ越したため違う
マンションだが、過去に戻る前と同じ場所。


エレベーターを下りると
1つしかないドアを開けた。




「竜胆ー、帰ったぜ。」



「兄ちゃん!!」




リビングから竜胆がバタバタと走ってきた。


そのまま飛び付く竜胆を力いっぱい抱き返す。




「ホントに帰って来たんだな。」



「そーみたい。
 でも何もわかってねぇんだよね。
 俺、何で大将にボコられんの??」



「今日帰って来るからな。」




竜胆はニヤリと笑うと
蘭の問いには答えずリビングに戻る。


その背を追い掛けた蘭は、テーブルの上に
所狭しと並べられた料理に目を瞬かせる。




「…誕生日、じゃねぇよな??」



「ある意味、誕生日。
 兄ちゃん、また泣くかもよ??」




悪戯気に目を細めた竜胆は
グラスをテーブルに置いた。


するとインターホンが鳴る。




「兄ちゃん、出て来て。」




訳が分からないまま
玄関に向かった蘭はドアを開ける。




「…よぉ。さっきぶり。」




そこには大人のイザナがいた。




「…大将、俺…」



「蘭、細かい話は後だ。
 むしろ必要ねぇけどな。」




子どものように笑ったイザナが少し
横にズレると、後ろにいた人がよく見えた。




「蘭くん、ただいま!!」



「…A、チャン??」




大人になったAがそこにいた。


あのときより、ずっと綺麗になって。


そして、その腕に大事そうに抱えられたモノを
見たときに蘭は膝をついて泣いていた。




「えっ…蘭くん、どうしたの??」




Aも焦ったように屈んで目を合わせた。




「…だから、言ったろ??
 こうなるって。」



「イザナだってさっき大泣きしたくせに…」




Aはジトリとした目をイザナに向ける。


イザナの目元は赤くなっていた。




「…どうした??蘭くん。」




更に後ろから顔を出した初めて見る男性に
蘭はもう何も反応出来なかった。


Aは屈んで、蘭の耳元に口を寄せる。




「…おかえり、蘭くん。
 やっと会えたね??」




蘭にしか聞こえないようにそっと囁く。




「Aチャン…!!」




膝を着いたまま、その腰に
抱き着くように腕を回す。




「っおい、蘭…危ねぇだろ!!」




ハッとしたようにイザナは
よろけたAの肩を支えた。





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YUMi(プロフ) - キクラゲさん» キクラゲちゃん、早速コメントありがとう!!ラストスパート頑張るね(⁠。⁠•̀⁠ᴗ⁠-⁠)⁠✧ (5月22日 17時) (レス) id: 85b1561d95 (このIDを非表示/違反報告)
キクラゲ(プロフ) - うわーついに続編!待ってた!ゆっくりでいいから頑張ってね! もう、50話から涙出てきた;; (5月22日 17時) (レス) @page1 id: bf82bf2975 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:YUMi | 作成日時:2023年5月22日 16時

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