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くしゃっと笑った圭介はAの頭を撫でた。
Aも安心したように圭介に
体を寄せると肩にそっと頭を乗せた。
何も話すことはなくても
考えていることは十分伝わった。
しばらくそうして圭介は帰って行った。
Aはどこか不安な眠れない夜を過ごした。
それから数日後。
堅から話は聞いたが、万次郎からは
何も聞くことなく参番隊隊長就任式と
銘打った集会の召集がかかった。
Aは集会開始にギリギリ間に合う
時間に晒の上に特服を羽織ると
長い髪を風に遊ばせてバブを走らせた。
万次郎、堅を始め圭介以外の
各隊長も勢揃いした中、Aは
特に焦ることもなくゆっくり階段を登り、
向けられた視線にも掛けられる声にも大した
反応を見せることなく、定位置に立った。
堅の掛け声で始まった集会で万次郎が
新参番隊隊長に前に出るように言った。
取り巻きを1人連れて前に出た
稀咲はAを見て頭を下げた。
Aはどこか虚空を見つめて
一向に目が合うことはなかった。
集会に参加していた武道が稀咲を殴り、
一悶着あった際に圭介が現れ武道を殴った。
そして東卍を抜けて芭流覇羅に行くと告げ、
背中を向けた。
その背をAは黙って見ていた。
そして集会が終わり、解散となった
いの一番に背を向けて階段を下り始めた。
「A!!
何か言いてぇことあんなら
ちゃんとここで言ってけよ。」
集会で話すとき同様険の強い声でAを
呼んだ万次郎に他の幹部たちはただ注目した。
「…何か言いたいことあると思ってるの??」
「明らかに何かあんだろ。その感じは。」
「おい、マイキー……」
2人の間に漂う不穏な空気に堪らず
堅は万次郎に声を掛けた。
「総長と副総長でそう決めたなら
わたしが何言っても意味なんてないよね。」
「…お前、まさか場地に
付いてこうとしてるわけじゃねぇよな??」
「そんなつもりはもちろんないよ。
でもせっかくだから1つだけ。」
Aはやっと万次郎の方を
体ごと振り返り、笑った。
「もしも稀咲くんにわたしが殺されたとしても
彼はこのチームに必要ってことだよね??」
「なっ…」
「何言ってんだよ…」
場の雰囲気が一気に凍り付いた。
「だってそう決めたんでしょ。
わたしに何も相談しないで。」
そう言ったAは笑っているはずなのに、
見ている方が思わず動揺してしまうほど
怒気を放っていた。
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作者名：YUMi | 作成日時：2022年7月23日 12時
