2 ページ3
·
千冬が笑ってそう言うとゾロゾロと
懐かしい顔が入ってきて席に座った。
武道は笑って彼らを出迎えた。
最後に入ってきた聡は30も
過ぎただろうに変わらずに格好良かった。
堅の掛け声で乾杯し、飲み会が始まった。
しばらく談笑していたが、頃合いと
堅が1つ手を打ち立ち上がった。
「今回の飲み会はいつもの定期の
飲み会に合わせて聡くんから
大事な報告があるから聞いてくれ。」
「Aがいなくなって3年、ここにいる
誰とも連絡がつかなくなって2年経つ。
今でも俺は気が気じゃないが、
アイツのことだからきっと
ちゃんと元気でいてくれてると思う。
Aがいなくなって腑抜けになった
俺にお前たちはたくさんの励ましをくれた。
俺もいつまでもこんなんじゃ
可愛い妹に笑われちまう。
だから決めた。
俺もちゃんと前に進むことにした。
今日は結婚する報告を世話になったお前たちに
最初にしようと思って場を設けてもらった。
中学高校と付き合ってたが
1度は幸せに出来ないって別れた。
Aがいなくなってから
ずっと側で支えてくれた香菜を
今度は俺が幸せにするって決めた。
アイツも頷いてくれた。
3号店がもうじき落ち着くから、
1号店に戻って近くに家を建てるつもりだ。
本当にお前たちには感謝しかないよ、
ありがとな。」
聡がそう言って笑うと皆が口々に
おめでとうと声を掛け、大きな拍手が溢れた。
「そんでAのことだけど毎度聞いてるが、
最近連絡取れたヤツいるか??」
堅の言葉にみんなはそれぞれ首を振ったりと
連絡が取れていないことを知らせた。
その様子に聡と万次郎、堅は
どことなく顔を曇らせた。
「そういや、関係あるのかわかんねぇけど
この間仕事で灰谷兄弟と一緒になったときに
意味深なこと言ってたんだよな。」
三ツ谷はつい先日のことを
思い出すようにそう言った。
「おたくの姫さん奔放の旅してんだろって。」
「は??何でアイツらが
Aのこと知ってんの??」
万次郎は険を強めて三ツ谷を見やると
低い声でそう言った。
「いや、俺も詳しく聞こうと思ったんだけど
すぐアメリカに飛ぶって空港行っちまったから
何も聞けなかったんだよな…悪ぃ。」
·
79人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:YUMi | 作成日時:2022年7月23日 12時