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「うん。
一昨日、帰って来た日の夜に会ったよ。
タケミっちとも、みんなとも会えた。」
「…メシ食ったら蘭チャンと出かけよーぜ。」
「うん。デートしよ。」
そう言って笑うAの頭を
蘭はくしゃりと撫でた。
竜胆の用意してくれたご飯を食べて
のんびりしているとコーヒーをいれてくれた。
蘭と自分にはブラックを。
Aの前にはミルクたっぷりのカフェオレを。
「竜ちゃんのカフェオレ美味しいんだよねー。
ありがとう。」
蘭はコーヒーを飲み準備をしに自室に戻った。
竜胆はチラッとAを見て口端を上げた。
「やっぱりマイキーじゃなかったんだな、
Aが選んだの。」
「…竜ちゃんに隠し事出来ないなぁ。
離れてみるとよく分かるもんだよね。」
「何も心配することねぇよ。
お前のこと好きなヤツらはそんな軽い気持ちで
今まで側にいたわけじゃねぇんだから。」
「ふふ。ちょっと緊張してるのかも。」
Aはマグカップを両手で包むように
持つとふぅと息を吐いた。
「店の準備とかでこれから忙しくなんだろうから
今日くらいは兄ちゃんと楽しんで来いよ。」
「うん、そうする。」
笑って頷いたAに竜胆も満足そうに笑った。
「A、行くぞー??」
「うん。竜ちゃん、ご馳走さま!!」
蘭はいつものように少しゆるっとした
シルエットの服に身を包むと
Aの手を取って玄関に向かった。
Aも竜胆に手を振って後に続いた。
竜胆のその目は2人の左手に付けられた
同じデザインのブレスレットを見ていた。
パタンとドアが閉まり、
竜胆はいつもより幼く笑った。
「2人してなーに心配してんだか。
ま、頑張れよ兄ちゃん。」
地下の駐車場に降りると蘭は
車の後部座席からヘルメットを取り
バブがある来客用駐車スペースに歩いた。
「やっぱりバイク恋しくなっちゃった??」
蘭の顔を覗き込むように見上げた。
「Aと出掛けるなら
バイクかなーって思って。」
「確かにー。」
自分のヘルメットを被ったAは
蘭が乗った後ろに跨った。
蘭もヘルメットを被り、腕が腰に回ったのを
確認してエンジンを吹かすと走り出した。
目的地を告げられずに出掛けるのも
昔と何も変わらず、懐かしさに頬が緩んだ。
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作者名：YUMi | 作成日時：2022年7月23日 12時
