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「私は喧嘩する人が周りにいただけで
そういうのって全然わかんないんだけど
凄く、怖いものなんだよね。
呑み込まれないようにいるのって
想像以上に孤独なんだと思う…」
香菜は眉を下げてそう言うと目を伏せた。
「万次郎くんはみんなの将来を考えて
チームを解散させる道を選んだけど
同時に力を発散する場所を無くした。
万次郎くんあの時もう気持ちが限界だった。
今にも呑み込まれそうな寸前を何とか
Aちゃんが繋ぎ止めてた感じだったのかな。
でもAちゃんも自分1人では
無理だってわかってたみたい。
だから最後になるかもってわかった上で
わたしは今の万次郎に何をしてあげる??
って聞いたんだって。
万次郎くんは暗い目でそんなこと言うなら
今すぐお前の全部、俺にくれよって。」
「…マイキーくんが??
Aちゃんとは何もないってさっきも…」
「万次郎くんは覚えてないんだよ。
Aちゃんを抱いたあの日のこと…
Aちゃんは先に目が覚めて
万次郎くんが起きる前に家出て来たんだって。
きっとその時のこと何も覚えてない
万次郎くんが起きて自分が隣で寝てたら
もっと傷ついて後悔するだろうって。」
「何でマイキーくんが覚えてないこと
Aちゃんは分かってたんですか…??」
「Aちゃんが必死で繋ぎ止めていた
万次郎くんは1度あの日完全に
みんなの前から消えちゃったんだ。
今の万次郎くんはちゃんと全部乗り越えられた
みたいであの頃と変わらずにいるけど。」
「そんなことが…」
「…それだけじゃないの。
Aちゃん、文字通り万次郎くんに
全部あげた日、赤ちゃんが出来たの。」
「えっ…」
「万次郎くんが居なくなって
Aちゃんは変わりなくいたんだろうけど
やっぱり不安定だった。
そんな時に妊娠がわかった。
万次郎くんが側にいない事実と
まだ自覚出来ない生命の重さに必死で耐えてた。
でも潰れた…
赤ちゃんは流れて、Aちゃんも
体調を崩して入院することになって。
うちの病院で2週間入院したAちゃんの
ところに飛び込んで来たのが圭介くん。
退院の日も圭介くんがAちゃんを
迎えに来て2人で帰って行ったの。」
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作者名:YUMi | 作成日時:2022年7月23日 12時