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「ここに来るとき
 エマちゃんから電話をもらって。


 マイキーくんが日本縦断するって
 消えた後にAちゃんも
 2ヶ月くらい姿が見えなかったって。


 きっと2人に何かあったんだって…」




武道の言葉に香菜は驚いたように目を瞬かせた。




「驚いた…エマちゃんはすごい子だね。


 万次郎くんがいなくなったって
 あんなに慌ててたのに。


 Aちゃんのことも見ててくれたんだね。


 私、看護師やってるんだけど
 あの日は夜勤明けだったんだ。


 いつもは8時に引き継ぎして帰るんだけど
 丁度新人の子が2人一緒で主任の計らいで
 先に上がらせてもらったの。


 5時すぎくらいだったかな…


 家に帰る途中で向かい側の車道の端でバブに
 乗って止まってるAちゃん見つけて。」




バブに跨がって停まっていたAは
ヘルメットを首に掛けて俯いていたという。


調子が悪いのかと心配した香菜は
Aを呼びながら走り寄った。


香菜がすぐ近くに来るまで気づかなかった
Aはハッとしたように顔を上げた。


その顔を見て香菜は言葉を失ってしまったという。




Aが泣いていたのだとーー




「Aちゃんのことは小学生の頃から
 知ってるけど泣いてるのなんて、初めて見たの。


 だからホントに驚いちゃって
 思わず抱きしめてた。」




Aの大きな目からは
ポロポロと涙が溢れていて


声を漏らさないようにと噛み締めた
唇が酷く痛々しくて…




「万次郎はわたしを置いて行っちゃう…
 だからわたしはもう着いて行けない。


 もっと上手く受け止めてあげられてたら
 こんな風にならなかったのかなって…


 しばらく泣いてたけど泣き止んだら
 笑って私のこと家まで送ってくれたの。


 その時は何があったのかわかんなかったけど
 夜に万次郎くんがいなくなったって


 エマちゃんから連絡もらって
 そういうことかって思った。


 2日後にAちゃんは私のところに
 この前はごめんねって謝りに来てくれた。


 その時に話してくれたんだ。
 これは多分、圭介くんしか聞いてない
 みんながホントに知らない話。」



「2人に、何があったんですか…??」



「武道くんは万次郎くんの
 黒い衝動っていうのわかるよね??」



「…はい。」







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作者名:YUMi | 作成日時:2022年7月23日 12時

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