双子の奇跡と世界の終わり【オリジナル】 (ページ22)

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魔法＊虐待表現少しありページ22

「セイ！よかった…」

肩がズキズキする。
頭がぼーっとする。
口が上手く動かない。
目の前にいるのはだれ？

「ぇ、ぁ…」

上手く喋れない。

「…セイ?」

「ぁ、えぁ…」

どうしたの、どうしたのと心配している目の前の人。
この人が誰なのか、自分の名前はなんなのか、ここはどこなのか、全てがわからない。
こわい。
あぁ、自分はこれを知っている。
でも、わからない。
どこで知ったのか、どうやって知ったのか。
上手く動かない口、声を出せない喉、何も知らない脳。

『なんで…なんでこれが出来ない？』

遠くから聞こえる誰かのこえ

『――は出来るのに…やっぱりお前は失敗作だな。』

冷たく、鋭いこえ

『さぁ、おいで、――…今日から君は大切な家族だ。』

俺には向けられないやさしいこえ

『おにぃちゃん？』

俺よりも幼いこえ。

『――！この部屋には入るなと言っているだろう？さぁ、リビングへ戻りなさい。』

俺には向けないやさしい目。

『ｯﾁ…まだ生きてるのか。バケモノめ。』

【バケモノ】
それが俺のココでの呼び名。

『後二時間だな。この家も』

わざと俺に聞こえるように言った言葉。

『じゃあな、バケモノ。』

うるさくなる家。
屋根が、崩れていく。
頭からドクドクと血が流れる。
フラフラする。
肩にガラスが刺さる。

いたい
いたいよ
なんで
どうして
俺はなにも、
なにもしてないよ…
生まれただけなのに
ただ、

ｳﾏﾚﾀﾀﾞｹﾅﾉﾆ