いい思い出は。 ページ8
no-side
中原中也_幹部就任。
廊下では中原中也と高見Aが楽しそうに話していた。
Aは欠伸を噛み殺し、そのまま腕を頭の後ろで組んだ。
『でも中也が幹部?ポートマフィア、舐められないかな』
「おい、どういう意味だ」
『だってほら………ね?』
「身長は関係ねぇだろ!」
『別になにも言ってないじゃん!』
Aの足を踏みつけようとするが、避けられる。
足を軽く横にしただけで避けたAはあははと笑う。
長年中也を教えていたのだ。それくらい朝飯前だ。
しかし、その"中也の師匠"の肩身も下ろす。
Aは中也の頭を撫でた。
『中也、君に伝えることがある』
「待て怖いんだが」
『私をなんだと思ってんの』
突然の行動に、中也は思わずたじろぐ。
しかし、直ぐに気がつく。Aが"師匠"としてのAであったから。
そしてAは言った。
『今まで、よく頑張ったね』
教え子であった中也はこれからは"目上"。
今まで通りには接しられないのだ。
今まで言えていなかった「頑張った」をここで詰めていう。
「撫でんの下手くそなンだよ、もっと上手くやれや」
『ぐへぁっ』
「最後の師匠としての面目が〜」と悔やむAは頭を抑えていた。
要するに拳骨を落とされたのだ。可哀想に。
「A」
『何すか暴力チビヤンキー幹部』
チビとヤンキーを言ったAにいつもなら拳骨行きへとなるが今日はしない。
中也はAの前で軽く頭を下げた。
「今まで、お、教えてくれてありが、とうございま、した。」
恥ずかしそうに頭を下げる中也にAは微笑した。
「というか手前、俺が幹部だからと言って話さないわけじゃねぇからな。勘違いすんな」
『どっ何処で知ったの!?真逆中也は私の部__ぐうおっふぁっ!』
拳骨を落とされ床で一回転したA。
___今日の事は二人とも覚えるだろう。
___実は今日、Aが師匠になり中也が部下になった日と同じなのだから。
数日前___
「森さん、お願いがあります」
「おや、太宰くん。君がマフィアから抜け出して一年前後したけれど、お願いとはなんだね?」
砂色の外套を羽織った太宰は森の前に立つ。
今すぐ此処で捕まってもおかしくない状況だ。それなのに"お願い"とはなんだろうか。
「中也が幹部になる日はAが師匠になった日にしてください」
「別にいいけれど…何故君がお願いをする?」
「……二人のいい思い出になればいいなと思いまして」
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作者名:MANA☆ | 作成日時:2024年2月12日 11時