平手打ちは。 ページ18
no-side
太宰はすぐに周りを見渡す。
そしてベンチの下で不気味に笑い続けている人形を発見。
「消えろ」
人形を掴み、異能力『人間失格』でそれを消す。
消えた瞬間、敦の腕から手形の痣が消えた。
事態が収まったことに、安堵のため息をつく。
すると、子供の声がする。
「太宰さんの新しいお友達、ずいぶん壊れやすいんだね」
後ろを振り向けば、少年がニコニコと笑みを浮かべている。
「けどいいんだ。太宰さんを壊す楽しみが残っているもの」
夢野久作。
__異能力『ドグラ・マグラ』
「それはおめでとう」
言ってることと違う眼を向ける。
それでも、久作はにっこりと笑っていた。
「僕を閉じ込めたお礼に、いっぱい苦しめて壊してあげるね!」
「善く覚えているよ。君ひとり封印する為に大勢死んだ。
次は封印などしないよ、心臓を刳り貫く」
2人は殺気を放つ。
すると、何処からか何かが倒れる音がする。
振り向くと、カラコンを外すAが此方に近づいて来ている。
『ただいまぁQちゃん。抱っこさせて』
「いいよ!」
太宰の脳内で、絡まっていた糸がしだいにほどける。
そして黒い眼をAに向ける。
「これを仕組んだのは君か」
『ん〜まぁね〜。勝利の女神も勝利するならなんだってやるんだよ。ねえQちゃん』
結んでいた髪も解き、バサッと暗赤色の髪が落ちる音がする。
『太宰、敵に助言すんのは癪だけど、この戦争は生ぬるいものじゃあないよ』
Aの瞳が太宰を捕らえる。
太宰も、Aを見つめる。
列車が駅へと着いた。
Aと久作はそれに乗り込む。
『そんじゃ、シーユー』
「また遊ぼうね、太宰さん」
パタリと扉が閉まる。
やがて列車は発車し、遠ざかっていく。
太宰はそれを静かに見送り、ポツリと呟いた。
「…そうだね、これは生ぬるいものじゃない」
踵を返し、蹲っている敦の元へと歩み寄った。
声をかけるが、敦は先程の出来事で困惑し、自虐的になっていた。
無理もないだろう。
自分の力を、決意を否定されたようなものだ。
「僕は駄目だ」と繰り返す敦に、太宰はパンッと平手打ちをした。
「自分を憐れむな。自分を憐れめば人生は終わりなき悪夢だよ」
その言葉は敦の心に深く、深く染み込んだ。
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研磨よりもゲームが強いネトゲ廃人の彼氏になった件について。【黒尾鉄朗】
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作者名:MANA☆ | 作成日時:2024年2月12日 11時