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「あ、…え、っと…」
ここまで震えなくていい。大丈夫。死なないから。大丈夫…大丈夫だって…
と心の中で唱えても止まらないどころか酷くなっていく気がする。
呼吸も苦しくなっていく。
思っていたよりトラウマになっているようだ。
「無駄口はそこまでにするように。」
「君も闇の鏡に寮分けしてもらわないといけないじゃろう?」
ハーツラビュル寮の寮長、そしてディアソムニア寮の寮長の代理(?)がユウにそう言った。
「あ、そうですね!いってきます!」
あーあ。馬鹿だなぁ。ここで少しでも心配したふりをすればいいのに。
そんな素振りを見せず闇の鏡の方へと歩いていった。
まあ、式典中にそうやって自分の勝手な行動をする時点でマイナスなのだけれどね。
「君、大丈夫かい?」
「顔色が悪いでは無いか。少し外の空気を吸いに行こう。」
「あ、ありがとう…ございます…」
私の背中を優しく撫でながらディアソムニア寮の寮長代理(仮)は扉の方へ誘導してくれる。
その時背後に鋭い目線を感じた。ユウだ。チラッと後ろを見れば本当にユウだった。しかしその姿をハーツラビュル寮の寮長が見ていた。
種は蒔いた。
いつ花は咲くかな?
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作者名:ハヌル | 作成日時:2020年10月20日 7時