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｢…よし。誰もいない｣
｢カンナ何をしとるのじゃ？｣
｢ぎゃああああ！！｣
寮に着き私は忍び足で廊下を歩いていた。
すると突然上からリリアが降ってきた(？)
突然の事で声を荒らげる。
しーっとジェスチャーするリリアを見て誰のせいだと思ってるんだろうと心の中で悪態つく。
｢しかしこんな夜遅くまで何をしておったのじゃ？｣
｢あぁ…面倒臭い事に絡まれちゃって…｣
私は今日あったことをリリアに話した。
リリアは優しく相槌をうちながら話を聞いてくれた。
いつぶりなのだろうか。
こんなにも話を聞いてくれる人は。
小さい頃両親は仕事人で鍵っ子だった私。
稀に夕方に帰ってくる母、父に今日学校でね！と話しかけたが、｢ごめん今忙しいの。後でゆっくり聞くね｣｢ごめんもう出なくちゃなんだ。後で聞かせてくれるか？｣と。
私は子供ながらに元気よく返事した。
しかしその｢後で｣が訪れたことがない事を覚えている。
それもあってか人に今日あった面白かったことの話し方がわからなくなり、次第に自分の気持ち、自分のことでさえ話し方がわからなくなった。
今自然と動いてる子の口が珍しく、人に話す事は楽しいのだと知った。
｢そうか。それは災難じゃったの。とりあえずお風呂に入っておいで。終わったら談話室においで｣
そう告げられ、私の頭を撫でたリリアは姿を消した。
談話室に呼ばれた理由も分からぬままリリアに言われた通りにするために部屋に向かった。
撫でられた頭を自分の手で触ってみる。
頬が緩み、心做しかその部分が暖かく感じた。
《おまけ》
｢夕食も食べずにお腹が空いただろう？｣
その後、リリアのご飯がその後振る舞われた。
お、おいしかった…です。
Prolog編END．
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作者名：ハヌル | 作成日時：2020年10月20日 7時
