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「彪雅って恋人いるの？」
「は？」
「だからいるの？って」
「いねぇけど…」
「そっかぁ俺も！」
帰り道、元は他愛もない話をしていたのに突然聞いてくる黒尾に戸惑いを隠せない俺。
黒尾の顔に視線をやると街頭に照らされ、真面目な表情をしているのが分かった。
「あの時…なんだけど、」
俺はすぐに分かった。
あの時とは高校の卒業式の前日、俺らが別れた日だ。
「お前のこと考えずにごめん。」
黒尾は淡々と話し始めた。
．
「男と付き合ってるとはどういうことだ！」
父さんにバレた。
俺が彪雅と付き合ってること。
母さんは泣いていた。
「男同士の何が悪いんだ…」
そんな言葉は父さんには響かなかった。
ただ…
「あのな、お前は男同士で付き合うことがどれだけ大変なのか分かってないんだろ？
もしかしたら将来も潰されるかもしれないことなんだぞ」
「相手の人生も潰す気か」
その言葉が俺の心の奥に深く深く刺さった。
彪雅の幸せが俺にとっての幸せだ。
それが、俺が幸せに出来なくても彪雅が幸せならなんでもいいと思った。
「相手の幸せ、将来を思うなら別れなさい。」
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作者名：ハヌル | 作成日時：2020年7月25日 14時
