短編集【F*Ki】 (ページ10)

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「ミツ、知り合い？」

なんて、無感情の眼をした笑顔で
海から這い上がってきた太輔。

こえーよ。

「ん？んや、逆ナン？」

なんておどけたら突き刺さるその眼。

「お兄さんもかっこいいねー、ゆうのタイプって感じ」

ゆうって呼んだあと、清楚ちゃんが目を逸らして耳を赤くしてるからこの子の名前か、なんて思ったり。

「お兄さん...一緒に、泳ぎませんか？」

なんて太輔をガッツリ見てる。

確かに俺もゆうちゃん？とやらに鼻の下伸ばしてたけど
この展開は俺的には面白くない。

思わずジト、って太輔を試し見ると

「んー、ごめん、俺らデートなんだよね。
2人は2人でデートしてなよ。可愛いんだから逆ナンとか勿体ないんじゃない？」

なんてレディースキラーな発言を残して俺の手引っ張って荷物を置いてるレジャーシートに直行。

俺を座らせて隣に自分も座ったあと、

「なに鼻の下伸ばしてんだよ」

やっぱバレてた？笑

「はぁー...。
俺が行ってなかったらどうなってたと思う？ミツの事だから俺の事なんて置いてってあの女のコお持ち帰りしてたんじゃない？」

「は？流石にそれはねえよ、お前がいるし、
あったとしても日焼け止め塗ってやるぐらいだって」

「そういうとこだよ」

妬いて拗ねてる太輔が可愛くて
無駄にいじわるしちゃったり。

「知ってるよ。ミツが俺が妬いてるとこ好きなの。
ただ本当に冗談でも気分悪い。やめて。」

「...ごめん。」

「女のコが好きなの知ってるし、俺が特別なのはわかってるからそんなに制限するは気ないけど
そうやって故意的に嫉妬させるなら俺にも手があるからね」

...手ってなんだ？
冷や汗出てきた。

「んじゃ、飯でも行こ、ちょっと歩いた先に海の家あるから。」

って急に笑顔で立ち上がる太輔。
次は俺の手も引かずにそそくさと移動しちゃうから
俺もなんかの本能で置いてかれちゃうと思って急いで後ろをついてった。

「〜〜〜〜〜〜〜っめぇ〜！！！」

＂アタリ＂すぎる、アタリにも程がある。
海の家は基本味の落差が激しいがココはすんげえひっくり返るほど美味い。

やっぱり夏に汗かきながら食べる焼きそばは別格だな

「ね、美味い」

太輔も綺麗に音を立てずに焼きそばを口に放り込む。