# ページ8
「からかってねえよ」
...
「北山ってそういうとこあるよな。
スルーしておいてやるよ。」
「ミツ。」
「は？」
「ミツ、ね。」
「何が？」
「この前までそう呼んでたじゃん。
呼んでよ。」
この前って、何年前の話してるんだよ。
「北山は北山だろ。」
「あ、俺も昔の呼び名に戻さないから
ずるいってことだべ？」
「はぁ？だから」
「太輔」
身の毛がよだつほどその言葉に反応してしまった。
肩ははねたし、
口に運ぼうとした肉は白米の上に落としたし、
顔に熱が集まる。
きっと耳、いや首までまるまる赤いだろう。
「かーわい。呼んでね、ミツって」
「...わかった。」
「ふふん。思い出しちゃった？」
「何を」
「太輔が犬系で俺にかまちょばっか
してたときのことー」
「別に。」
「もー、素直じゃねえなー。」
俺の気持ちなんて見透かしながら
確認してくる。
やっぱりこんな男が俺のこと好きなんて、嘘だ。
「ともに、つって友達みてーにはならなかったよな
お前とだけは。」
そう、なんだかんだ言って渉とは
定期的に連絡を取り合っているみたいだし、
健永にもメールを送って
嬉しさを隠すように返信をする健永も見てきた。
「ミツが連絡くれなかったんだろ」
「俺が、俺がってねー
お前だって寄越さなかったろ。
待ってたんだぞ。わんちゃんに戻るの」
「そう...。」
「太輔とは友達にはなりたくなかったんだよ。
わかるだろ？」
なんて昭和臭い男なんだ。
言いたいことは苦しいほどわかってる。
��友達じゃなくて恋人、逃がさねえよ��
疑り深い俺でも、
コイツが意中以外にこんな思わせぶりしないのは知っている。
「俺も、だよ。」
「なにが〜？」
わかってて言わせたいコイツの思惑には乗りたくない。
...ミツのことだ。
こうなることわかってて飯に誘ってきたんだ。
「俺も、ミツが好き。」
デビュー以降の俺の癖。
コイツに愛を伝えるようなことがあれば
眉間に皺を寄せる。
そんなシワをツン、って押して。
「そっか、じゃあ付き合お、俺ら」
なんて、してやったり顔で笑うんだ。
15周年越しに解けた？
誤解の恋路
「お前、わかりにくいけどわかりやす」
きっと、ミツがやりたかったことはこれだろう。
次の記事は俺とミツの同性愛とかかな。
＿＿＿＿Fin
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作者名：Cuz | 作成日時：2019年8月26日 12時
