# ページ3
「藤ヶ谷さん、私たちは...」
まあ、そうなるよな
「ごめん、俺明日早いから帰らなきゃ」
「え、でも路線、」
「タクシーで送るよ」
「え、でも」
「いーの。気にしないで。」
切なそうな視線と熱烈な想いを無視して、
呼んだタクシーに押し込んでお金を渡して帰らせる。
ふぅ...。
まあ、華金に男女2人と言っても
俺には意中の相手がいるからどうこうなるわけではない。
自分に好意のある女性を帰らせた孤独感を抱え、
俺は一人家へ帰った。
「よお、」
「は？」
「二次会しようぜ」
先程、女の子の腰を抱えてふらっと消えたはずの北山が
酒の沢山入ってるビニール袋をひょいっと見せびらかして
俺ん家の扉の前に佇んでいた。
「は？」
「んだよー、入れろよー笑」
「ったく、」
鍵を開けて招き入れると
へにゃ、って溶けた笑いを見せると、
靴をバラバラに脱ぎ捨てて部屋に駆け込んでった。
「ほれ、お前の好きなカクテルと〜」
不定期に開催される北山と俺だけのサシ飲み。
この不定期に俺は精神状態を鷲掴みにされている。
「あ、これ、新発売の」
「そー、お前好きそうじゃん」
「好きだよ、」
「...」
「こういうの。」
俺の好みを理解している北山に、
紛らわしい肯定の言葉を送ると
「あぁ、、、、そう。」
顔を逸らして口を抑えてる。
わかりやすいなー。
そう、もうわかってはいると思うが
俺と北山はお互い自覚済みの両片想い。
お互いがお互いの言葉を待っている状態。
「あの女、藤ヶ谷にキョーミあんだろ？」
「かもね」
「お前は？」
「ん？」
「告られたら？アリ？ナシ？」
「んー、」
「...」
「わかんない」
「んなことねーべ、真面目に答えろよ」
俺からの明確な言葉を待つ北山。
否定して欲しいんだろうな。
「もしかしたら付き合わないことはないかも」
「は！？」
ウケる。
「お前、、、好きなやつとか、いたり、」
「さあね〜、なんで北山が気にすんの」
「んや、だって、」
「なに、俺のこと好きなの？」
「は？え、や、」
動揺して顔真っ赤、かわいー。
「嘘だよ」
「好き」
...
！？
「すき、藤ヶ谷のこと好きだよ」
その目は酔っぱらいの目とかではなく、
仕事の時のようなキリッとした、それでいて俺だけに見せる。
あの目。
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作者名：Cuz | 作成日時：2019年8月26日 12時
