匂わせ ページ15
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「おい!」
ドタバタと慌ただしく帰ってきた太輔が
リビングのドアを開いてずんずんと近寄ってきては
俺のSNSを表示したスマホを俺の目の前にドンと、
見せつけた。
「ンだよ、これ。」
不安でいっぱいでたまらない、みたいな。
それでいて悔しくて怒っている、みたいな。
「ん?その写真いいだろ」
「いいだろじゃねーよ...
なに?ピアスだとか、ベルトだとか、
なんでお前男友達とそんなにお揃い持ってんの?」
「好きなブランドが一緒なんだよ。
ピアスもたまたまだし、」
「あーあー、はいはい。
ミツと俺は好み違うもんねそうだもんね」
なんて目逸らして拗ねだしてる。
太輔の言わんとしていることはわかる、
だけど俺らだってそれ以上にたけー時計オソロじゃね?
「何言ったって無駄だからな。
お前が他のヤツとお揃いしたのには変わらねーよ」
...思考にまで釘刺されちまった。
こうなりゃどうしようもねえ。
何考えても読まれる。
俺の両肩を強く掴みながら
「別に俺、ミツのコミュニティ制限したい訳じゃなくて、
明らかに友達以上のことを、
俺以外のヤツとやって欲しくないんだよ...」
「まあ、そうだよな」
「ミツがそういう人だってわかってるから、
どうせお揃いのままだろうし、
これからもどうせお揃い増やすんだろ。
俺、知ってる。」
俺と二人きりになると急に口調が
子供らしくなる太輔。
意識せずして顔がニヤける。
「ミツ、笑わないで」
「ごめん」
「制限する気は本当にないから、
だからこうやって八つ当たりぐらいは許して欲しい」
苦しそうに顔を歪めて目をそらす。
長く伸びた横髪を耳にかけるとこちらに目を向けた。
「ミツ、こういうめんどくさいの嫌でしょ。」
「やじゃねーよ、
めんどくせーとかはあるけどお前が俺の事好きってことじゃん?」
「...ミツが俺のこと好きな証拠も欲しいのに」
「んー...それって嫉妬限定?」
割とお易い御用なんだけど?
「うん、俺ばっか嫉妬しててやだ」
いや
そんなことねーべ
「でも太輔が思ってるより俺独占欲あるよ?」
「嘘つき」
「ほんとだって。
ほら、なんて言えばいいかなー、」
言葉に迷っていると
信じられないという風にジトリと見つめてくる
「昔は俺がわりー虫追っ払ってたし
今は太輔が俺の独占欲満たしてくれてるし?
なんかただ文句がないだけなんだよね」
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作者名:Cuz | 作成日時:2019年8月26日 12時