朝。 ページ13
目が覚めると隣にはミツ。
案の定目覚ましが鳴る前に起きた俺は、
ミツのためにも目覚ましを止めておく。
...寝顔、いいな。黙ってれば可愛いのに。
元々口角が下がり気味の俺と違って
きゅいっと上がっている口角には心底羨ましさを感じる。
ベースの真顔が笑顔みたいなとこあるのに、
時折見せる真顔は色気の塊そのものだ。
しばらく寝顔を堪能した俺はベッドから降りて
朝食を作りにキッチンへと出向く。
...まあ、朝食って言っても
パンとソーセージと目玉焼きを焼くだけなんだけどね。
パンをトースターにセットして、
フライパンにソーセージを投げ入れてとりあえず焼く。
ミツ、いくつソーセージ食べるかな。
「...ぉあ゛よ」
ふと背後に温もりを感じた。
腰に巻き付けられた腕に抱きしめられてる。
それは分かっているが、火も使ってるし危ないので
振り向きたい気持ちを抑えつつフライパンを握る。
「...ミツ、おはよう。起きたんだね」
「起きたわ。隣見たらいねーし、いいよ朝飯は
とりあえずもっぺん二度寝しよ。
まだねみぃ。」
「でももうソーセージも焼いてるし、
パンだってセットしちゃったよ」
チン!
「...ほら。」
都合が悪くなったのかより強い力で
抱きしめられる。
「なんでこっち見ねえの」
話だって逸らし出した。
「だって今、火使ってるでしょ?」
「ふーん、」
そう訳を話すと会話は続かない。
それがいつもの俺たちのテンポ感だ。
「まあいいや、それ早く食って早くベッド来てね」
とてつもなく身勝手な命令をして
ミツは俺らの寝室へ戻って行った。
抱きつきながら"早くベッド来てね"...ってなんだよ。
朝からそういったお誘いは困るんだけど?
.
「おせーよ」
寝とけばよかったのに、
わざわざ俺が来るまで起きてたんだって、
かわいいヤツ。
「はい、お互い久しぶりの休日なんだし
ゆっくり寝ようね」
「ん。ほら、こいよ」
って腕広げ出すからその胸に飛び込む訳もなく
自分の胸にミツの頭を引き寄せねじ込む。
「結局これかよ」
文面だけ見ると拗ねてるようにも見えるが
甘えるのが好きなミツは満更でもなさそうに
俺の背中に手を回してきた。
「こっち見て、ミツ。」
腕の隙間から縫うようにこちらを見上げるミツ。
眠たげな上目遣いが今にも俺を夢の世界へ導きそうだ。
「んだよ」
「おやすみ」
そのまあるいおでこにキスをすると、
ミツは静かに眠りについた。
_____Fin
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作者名:Cuz | 作成日時:2019年8月26日 12時