# ページ11
口に入るぶんだけかっこむ俺と違って
綺麗に小さく口に放り込む太輔。
その上品な食べ方に見惚れつつ、太輔より先に完食した俺はジッとその食べ方を見つめる。
ふとこっちを見た太輔がこっちに手を伸ばしてくるから
誘われるがまま目を閉じたら、口端にこそばゆい感触。
目を開けたら太輔がソースの着いた親指を見せつけて
「ついてたよ」
って指を舐める。
なかなかに古いありきたりなことをされて
でもやっぱり太輔がやることだから心臓が収まんなくて
「お前だってついてるし」
なんて何もついてない口端を勝手に舌で舐めたら
目の色が途端に変わった。
「なんでそんなに誘って来るかなぁ...。」
「は？」
「とりあえず店出よ。」
って店を出る。
先払いだから食器のトレーを返却すればすぐに出られるんだけど、太輔は俺に見向きもせず
「ご馳走様でした。」
って返却して、
店を出たら足早に人のいない岩陰の方に消えてった。
さすがに俺も焦ってトレー返して店出て
太輔がいた方に走ってくけど、
足音もしないし、聞こえるのは波の音だけ。
見間違いだったかと巻き返そうとすると
「うぉっ」
グイッて後ろに腕を引っ張られて思わずコケる。
後ろを振り返るとすぐそこに太輔の顔。
ドアップにびっくりして思わず仰け反ると
太輔の両腕が伸びてきて腰とうなじをクッて引き寄せてきた。
耳元で
「ここ、誰にも見られないんだよ」
とか、いきなりなんの話してんだよって
とぼけた顔でいると
「そんな顔してもダメだよ。」
なんてそのまま流れであーれー...。
「最悪、俺外でヤんの嫌いなのに。」
「うるさいよ、興奮してたヤツが何言ってんだかね」
それは確かに、
正論だ。
ぐうの音も出ねえから顔を顰める。
「いちゃいちゃしてた間にもう暗くなってきたね。
そろそろ花火も頃合いじゃない？」
手を繋ぎながらレジャーシートに戻ってはそう言う。
「そんな睨まないでよ」
って笑いながら言うけど
「なんでこんな分かりやすいとこにつけたんだよ」
...キスマーク
「そんくらいの位置につけなきゃわからないじゃない？」
「最悪マジで」
「俺にもつけていいって言ったのに、
そんな余裕なかった？笑」
このクソ....！！！！！
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作者名：Cuz | 作成日時：2019年8月26日 12時
