♯70〜初めての射的〜 ページ24
「あの…使い方、教えてください」
思ったより小さくなった声に、さらに羞恥心が体を支配する。
火照るように、一気に体が熱くなった。
「ああ、来たことないんなら、した事も無いよなそりゃあ」
かして？
銃を私から受け取り、説明をしながらコルクを1つセットしてくれる。そのまま私の後ろに回ると、手を取って銃を構えた。
背中から、九瓏先生の体温が伝わる。
「そこから覗いて、当てたい景品を狙うんだ。で、トリガーを引くとコルクが飛び出すから、それで頑張って倒せ」
そこまで耳元で説明すると、スッと離れて再び横に並んだ。
見れば、浴衣の袖の中に腕を入れて腕組みして的の方を見ていた。
……何がしたいんだ、この人は。
私は言われた通りに銃を構えて、高性能ヘッドホンの角目掛けて打った。
狙い通りに飛んだコルクは、ヘッドホンを後ろに揺らした。
ゆっくりと戻る前にコルクを詰め、同じ所をもう一度撃ち抜く。
ガタゴトと音を立てて落ちたヘッドホンを、おじさんがワーワー何か言いながら拾って私にくれた。
「す、すごいなA……」
「……あと3発、していいですよ。」
「え、もういいの？」
「はい。いい景品貰えたので。」
ずい、と銃を押し付けて、そこから去ろうとすると、腕を掴まれて引っ張られ、射的屋の前に戻された。
高い下駄のせいでよろけてしまった私は、九瓏先生の胸にぶつかった。
「あ、ごめん。けど戻るのはちょっと待って。何欲しい？Aのお金だし、先生もいい所見せたいからね〜」
そう言って袖を肩までたくしあげる九瓏先生。
何か見てはいけないものを見てしまった様な気持ちになってしまい、現れた腕から目を背けた。
「…じゃあ、あの猫を」
私が指さしたのは、少し大きめの三毛猫のぬいぐるみだった。
それを確認して、九瓏先生はん〜…と唸った。
「取れなかったらごめんね？」
先に謝った九瓏先生。難易度の高いものを選んだという自覚はある。さっきの仕返しのつもりだ。
「取れなかったら後で何か奢ってくださいね」
「先生今月キツイんだけどなー」
苦笑いした九瓏先生は、銃を構えて、しっかり狙ってから、トリガーを引いた。
ラッキーアイテム
九瓏ケントのビデオカメラ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 15人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
NIL(プロフ) - 干し椎茸*さん» 初めまして！読んで下さり、ありがとうございます！青い鳥大歓迎です！これからもよろしくお願いします！！ (2017年12月25日 8時) (
レス) id: 3e4ae99fc9 (このIDを非表示/違反報告)
干し椎茸*(プロフ) - 初めまして！干し椎茸*と申します！いつも小説楽しく読ませていただいています！是非よろしければ青い鳥さん繋がりたいです！これからも頑張ってください！ (2017年12月24日 23時) (レス) id: a817280258 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：NIL | 作成日時：2017年12月24日 5時
