Agapanthus (ページ6)

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･TH

扉の向こうに、あの子がいる。

それだけで胸が高鳴ってどうしようも無くなる。

いつからこんなに好きになったっけ。

･

───────1か月前

JN｢テヒョンア、休みの日にごめんね。｣

TH｢全然大丈夫です。｣

ジンヒョンが引越し作業に追われてるって話を聞いて、ちょうどご飯を一緒に食べるつもりだったし手伝った。

JN｢今日はヒョンの奢りだからねっ！｣

TH｢当たり前です！｣

ラッキー、なんて思って早速出かけるために玄関の扉を開けた。

このマンション、10階建てでジンヒョンは最上階なんだけどほんとに広い。

プールもコンビニみたいなのもあるし、至れり尽くせり。

まあ俺たちは忙しいからこの家に帰ってゆったりする時間とか少なそうだなとも思うけど……。

JN｢芸能人マンションって言うらしいね。｣

TH｢誰が住んでるんだろうね。｣

そんな話をしながらエレベーターに乗り込んだその時。

｢すみません、乗ります。｣

後ろから小走りで飛び乗ってきた華奢な人。

男か、それとも髪の短い女か。

声は……分からない、中性的だった。

ふわっと香るいい匂い。

思わずジンヒョンと目を合わせてしまった。

｢何階ですか。｣

振り返ったその子は……

TH｢……！｣

JN｢……！｣

カン･Aだった。

あの伝説の子役、カン･Aくん。

｢あの……｣

JN｢……あ、ごめんなさい、１階です。｣

ボタンを押してくれるAくん。

Aくんはどうやら地下で降りるみたいで、B2のボタンを押していた。

地下駐車場かな。

黒のシャツに黒のスキニー。

耳元で揺れるピアス。

黒のキャップを被ってるから全身黒。

昔は小さくて清純って感じの男の子だったのにすごくギャップ。

ジンヒョンも同じように後ろから舐めまわすように見てる。

ちょっときもいけど、多分それは俺も。

JN｢……｣

TH｢……｣

｢……｣

ゆっくりゆっくり進むエレベーター。

もしかして夢かな。

だって、存在してるのかなって疑ってたところあるし。

チン、と上品な音が鳴って1階に着いた。

一瞬ぼーっとしてたけど、慌てて降りる。

｢……、｣

ドアが閉まる時にはお辞儀までしてくれた。

TH｢ヒョン！｣

JN｢やばいね。｣

実物の方が綺麗で白くて……画面で見ると随分と華奢だったけど、意外とちゃんと男だった。

それが、初めて君と会った時の感想。