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※第20話 ページ21

村は焼けただれていた。
その上、すごい腐敗臭だ。


近所の夫婦が育てていた花壇には何も残っておらず、上を見上げたまま死んでいる村人もいた。
おそらく、死んだことに気づかないまま死んだのだろう。


瓦礫の下からは腕だけがのぞいていたり、子どもを抱きしめたまま死んでいる母親もいる。


とりあえず、私達は各々の家に向かうことにした。


「お父さん、お母さん…お願いだから無事でいて」


私は思わず呟く。



家の扉を開けると、リビングの椅子に座っているお父さんの背中が見えた。


「お父さん! よかった、何があったの!?」


私はお父さんの肩に手をかける。


氷のように冷たい体温が私の手に伝わってきた。
お父さんから返事はない。

お父さんはべチャリと音を立てて顔をテーブルに突っ伏した。


キッチンをチラリと見ると、お母さんが熱々のシチューが入っていたであろう鍋に手を突っ込んだまま、キッチンに寄りかかるようにして動かなくなっていた。



なぜか涙は出なかった。





しばらく皆で探し回ったが、生きている人間は誰1人としていないようだ。


私達は村から少し離れたところにキャンプを張る。

いくら故郷とはいえ、さすがにあの村で休息はとれない。


しばらく無言の時間が続く。

そんな中、ジェイルが口を開いた。

「…これも魔王の仕業なのか」

「そうだと思う。本で読んだんだけど、本来なら村を守るための結界が張られているはずなんだ。それなのにこの有様ということは、今年がちょうどその力が切れる年だったんだんじゃないかな」


フーザの言葉に、ジェイルが突然立ち上がる。


「なんでお前はそんなに冷静なんだよ! これを見て何も思わないのか!?」

「僕だってショックだよ! 当たり前だろ! 今にも頭がおかしくなりそうなんだ!!」

「2人とも、ケンカしないでよ! 私達が仲間割れしたら、誰が世界を救うの!?」


私の言葉に、ジェイルとフーザが黙り込む。


「…ごめん。熱くなった。
各々で頭を冷やしてこないか? 夜にまた集合して、明日魔王城に出発しよう」


フーザの言葉に賛成し、私は村の洞窟へと向かうことにした。









洞窟のモンスターは、先程の私達によって全滅させられていた。

涼しい風が私の頬を触れる。



ふと、洞窟の奥に誰かが立っていることに気がついた。
向こうもこちらに気づく。


私は目を疑った。


「あ、貴方は…!」

「言ったでしょ? 絶対にまた会おうって」

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猩々(プロフ) - パトさん» そのようにおっしゃっていただけて嬉しいです。この作品を読んでくださりありがとうございました。 (2021年3月19日 19時) (レス) id: f5012a712b (このIDを非表示/違反報告)
パト(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございました。終盤の段々狂っていく感じが凄くゾクゾクしました。読み終わってから設定キーワードを見て「こんなところにもメッセージが……」と感動しました。長文、駄文失礼しました。 (2021年3月17日 22時) (レス) id: 8ed95612e3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:猩々 | 作成日時:2020年11月6日 14時

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