才虎芽斗吏を娶り隊！

とある兄弟の話 中編 ページ19

突然現れた才虎君のお兄さん。

その事で私の頭は混乱していた。


「え？…才虎君のお兄様なのですか？」

「うん。そうだよ。」


思わず敬語になってしまった。


それにしても才虎君にお兄さんがいたなんて。
そんな事一つも言ってくれなかった。


まじまじと見てみる。

…確かに才虎君とよく似ている。

少したれ目だし、髪も才虎君と同じ色だ。
違うのは背が高いところかな。

才虎君はシークレットブーツを履いているというのに。


…だけどなんだろう。
初めて会った気がしない。



昔…いや、つい最近会った気がする。


「ううん…。あ、ああ！思い出した！この人才虎君の誕生日を教えてくれた知らない男の人だ！」


そういえばそうだった。
その時は変な男の人だと思ってたけど…。


でも、なんで忘れてたんだろう。

まぁ、今と服装が違うからかな？


「え。…知らない。僕は芽斗吏の誕生日なんて教えてないし。」


「…嘘つけ！教えてるじゃないか！…全く。お前がしていることは情報の漏洩だぞ。」


しらをきるつもりだったようだが、あっさりばれてしまった様子。

「うう。別にいいじゃないか。芽斗吏のお兄さんなんだし。」



「元、な。」




え、凄いどろどろしてない？

「え？…元兄弟ってどういうことですか？」


「あぁ。…それは数年前にさかのぼる。」




それは、僕が高校生の頃。




僕はいつもの日常を退屈に感じた。


何でもお金で解決してしまう世界。

周りの人はお金目当てで僕に近づいてくる。



そんなある日、何気なくTVをつけるとマジックショーの映像が流れていた。



「…！凄い！」


目の前で起こる不可思議な出来事。

突然目の前の物が浮いた。


鳩が帽子から出てきた。


僕は暫くTVに夢中になっていた。

凄い…凄い！


こんなにワクワクしたのは何年ぶりだろう…！




僕は、このつまらない人生に夢ができた。






マジシャンになる…という夢が。

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