転生先は約束のネバーランドの世界でした。２

side：男主 ページ38

「A！ユウゴ！ルーカス！よかった！」

エマが喜ぶように声を上げる。けど、

「そんなの当たり前だろ。あいつらごとき大したことない。そんなことより……誰が誰を助けに行くって？」

だんまりか。

「聞いてるか？誰が誰を助けに行くんだ？
もし、俺達が倒されていたのなら？俺達より弱いお前らが、俺達を倒した敵を本当に倒せると思うのか？

そもそも、お前達じゃ敵を倒すことはできない。

何故なら、お前達は人間を殺せないからだ。

いいか？相手は人を殺すプロだ。『殺していいのか？同じ人間なのに？』とか思っている間に敵はお前達を殺すぞ。」

実際そうだしな。

「……じゃあ、Aは……躊躇いもなく敵を」

「あぁ、全員俺が殺した。それが何？」

「ほ、本当に？」

ユウゴ達にギルダが聞く。ユウゴは少し目を背けて、

「あぁ」

とだけ答えた。

「何で悲観的なってるの？敵は倒した。もう襲われることはない。とりあえず、下手に外に出ようとか考えるのはやめろ。敵じゃなくて、鬼に襲われるかもしれないんだからな。」

「A！！」

「何？エマ？」

「ごめんなさい……」

「？何が？」

アレかな？『私達のために人を＿＿』的な。

「だって……人を殺させてしまった……」

「？だから？」

予想当たったな。考えていることが単純なんだよ。

「え……」

「人を殺すことは悪い事。

確かにそうだな。

でもさ、人が鬼を殺すことは本当にいい事なの？」

「え」

「俺は鬼に肩を持つことはないけど……俺は人間も鬼も大差ないって思っている。」

鬼も鬼を殺すし、人も人を殺す。

鬼は、己が強くなるために。

じゃあ、人間は？

「俺はね、エマ。

人を殺すことを厭わないよ」

こんな残忍な手で、こんな誰もが嫌うことをやって……みんなを救えるなら。

俺はいくらでもやるよ。

俺は、こんな方法ででしか……人の救い方を知らないからさ。

side：レイ→←side：男主

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す