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落ち着いたりょうたくんを抱いたまま立ち上がる。少し歩いて振り返れば、しょうたくんが一歩踏み出す所だった。……私の視線に気付いて出しかけた足は元に戻ったけど…
『ゆっくりでいいからね、』
「……ん、」
頷いてくれたのを確認して、ホールの方に向かう。
……確か、この時間なら。
『……あ、居た。櫻井さん！』
櫻「どうしました？ ……その子は、」
『すみません、お休みの時間ってことは分かってるんですけど、この子の怪我を診てもらたくて…』
櫻「もちろん。奥、借りてもいいかな」
厨房の隅、事務スペースの机の上にりょうたくんを下ろす。近付いてきた櫻井さんの腕にビクッと肩を震わせて、落ちそうなほど勢いよく机の端に逃げてしまった。
『人間にひどく怯えてるみたいで…』
櫻「……きっと家庭環境が良くなかったんだね」
「なにっ…するの…」
櫻「僕は櫻井翔。お医者さんです。…分かるかな」
「おいしゃ、さん…」
櫻「うん。痛いところとか、苦しいところを治す人です」
お医者さんのことは分かっているのか、りょうたくんの身体から力が抜けたのが分かる。櫻井さんはゆっくりと手を伸ばし、今度こそ彼の身体に触れた。
さすが櫻井さんだなぁ…
『右脚を引きずっていたみたいなんですけど、』
櫻「右脚…ちょっとごめんね？」
『……わ、』
櫻「これは痛いよ…骨までいってるかもしれないな…」
膝の下あたりが赤黒く腫れていた。その他にも、脚だけじゃなく腕やお腹にも小さな痣がいくつもあって。どんな生活をしていたのかが想像できてしまった。
思わず、足元で座り込んでいたしょうたくんを抱き上げる。
櫻「Aさん。りょうたくんをうちの院に連れて行きたいと思うんだけど、」
『あー…、少し待ってもらえればついて行けます。今、ちょうどお客さんが落ち着いてるところですし』
櫻「じゃあ…お願いします。きっと初めての場所は余計に怖がっちゃうかもしれないから」
『……と言っても、私もさっき会ったばかりですけどね、』
櫻「でもほら、その子が気を許してるみたいだから。Aさんはこどもたちを安心させる力があるみたいだ」
そういえば。突然抱き上げちゃったのに、しょうたくんはギュッと私に抱きついたまま大人しくしている。
……懐いてくれた、のか？
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まりも(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいています。リクエストなんですが、翔太くんと涼太くんがお店に来る前の家でのお話が見たいです！これからも更新頑張ってください！ (2020年10月10日 15時) (
レス) id: 2607901ad6 (このIDを非表示/違反報告)
Yuri - いつも楽しく読ませていただいています！更新、楽しみにしています！！ (2020年9月29日 23時) (レス) id: 2467065cee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おれんじ
| 作成日時：2020年9月18日 15時
