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休み時間 ページ9

呆然と蘭ちゃんをみる。
蘭ちゃんが、不思議そうに首を傾げた。

「Aちゃん?」
「……なんで、休んだか……」
「うん」
「……ごめん、わかんないや」
「そっかぁ……」

やっぱりAちゃんもわかんないよね、って言って、蘭ちゃんが笑う。

「……放課後、お見舞い行ってみたら?」
「お見舞い?」
「そう。新一、蘭ちゃんが来たら嬉しいと思うよ!」
「え!」

顔を赤くして、慌てる蘭ちゃん。
……どうして、お見舞いなんて言ったんだろう。

「じゃ、じゃあ、Aちゃんもついてきてくれる?」
「……私も?」
「ほ、ほら!一人より二人の方がいいじゃない!」
「うーん……」
「ダメ……?」

心配そうに、私を見る。

さすがに、喧嘩してる相手には会いづらい。
……でも、もしかしたら。
喧嘩中だって思ってるのは、私だけだったり。

なんて考えて、さすがにそれはないか、と思い直す。

「……ごめん、今日ピアノがあるんだ」
「あ……そっかぁ……」
「ごめんね」
「ううん、習い事なら仕方ないよ!」
「そうだね……」

ほんとはピアノなんてないけど。
疑われないように断るには、嘘つくしかない。

「じゃあ私、一人で行ってみるね!」
「……そっか」

嬉しそうに蘭ちゃんが笑った。
心のモヤモヤは、知らないフリ。

キーンコーンカーンコーン。
授業開始のチャイムが鳴る。
またあとでね!って言って、蘭ちゃんが席に戻っていった。


その日の学校生活は、散々だった。

遥樹くんが、休み時間のたびに私のところに来て、おしゃべりをする。
別に遥樹くんのことは嫌いじゃないから、いやではないんだけど。

「Aちゃん!ノート見せて!」
「いいよ!」

「Aちゃんってピアノ弾けるの?」
「ちょっとだけだけど、弾けるよ」
「へえ!今度聴かせて!」
「うん!」

「Aちゃん、なんの本読んでるの?」
「宮沢賢治の本だよ!」
「あ、俺知ってる!『雨ニモマケズ、風ニモマケズ、雪ニモ夏ノアツサニモマケヌ、丈夫ナカラダヲモチ』ってやつ!」
「遥樹くんも好きなの?」
「ちょっとだけ!」
「そうなんだ!」

他にもいっぱい。

遥樹くんは顔が良くて頭もよくて、運動もできる。さらに優しくて、新一みたいに女の子にモテてる。

そんな王子様みたいな人が私に絡んでくるもんだから、他の女の子の視線が痛い。
ヒソヒソ何か言われてるのも聞こえた。

なんで今日は、みんな私を見るの。
新一がいるときは、もっと静かなのに。

そこまで考えて、ハッとした。

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極・吹雪姫 - ちょっとびっくりしたのが、弟の瑞紀(みずき)と私の「ミズキ」が被ったことだわね。 (2019年5月2日 20時) (レス) id: c4455a25af (このIDを非表示/違反報告)
極・吹雪姫 - ごめんなさい、本当に途中で泣きそうになったわ。「泣く」ですわ。泣いたページ。 (2019年5月2日 20時) (レス) id: c4455a25af (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - こいつらまだ小学生だった…!なんつー濃い恋愛を…!この小説すごく好きです!遥樹くんのちょっとした嫉妬がこぼれて、それを見てとても切なくなる。ヒロインの気持ちはよく理解できるけど、やっぱり遥樹くんがいちばん好きです! (2019年3月11日 10時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)
松野かほ(プロフ) - 遥樹くんの読み方を今初めて知った← (2019年2月13日 15時) (レス) id: 45fd1e6358 (このIDを非表示/違反報告)
みお - この小説好きです!正直言うと新一より遥樹くんの方が好きだったのでくっついて欲しかったなぁって思ってます() (2018年6月8日 19時) (レス) id: 0646f7c2e0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みやの | 作成日時:2018年3月1日 22時

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