好きなの? ページ8
「Aちゃん、どうしたの」
「Aちゃん?」
3人に心配されて、必死で涙をとめた。
すんっと鼻をすすって、パッと顔を上げる。
にっこり笑えば、3人はほっと安心したような顔になった。
「泣いちゃってごめんね、もう大丈夫!」
「よかった!」
「工藤くんとも、すぐに仲直りできるよ!」
「うん、ありがとう!」
慰めの言葉に、心がじんわり温かくなった。
席について宿題をやってたら、遥樹くんが私の机の前に立った。
「遥樹くん?」
「ねえ、Aちゃん」
「なあに?」
「Aちゃんはさ、工藤くんのことが好きなの?」
「……え!」
新一のことで泣いてたのに、新一のことを聞かれた!
「好きなの?」
「……」
まっすぐ私の目を見てくる遥樹くん。
どう答えればいいか、言葉に悩む。
「……新一と私は、」
「うん」
「……ただの幼馴染だよ」
「おさななじみ」
「うん、ただの腐れ縁!」
「ふーん……」
どうして嘘をついたのか、私自身わからなかった。
ただ、この言葉が新一を傷つけて、言わなきゃよかった、って後悔することになるなんて、この時の私は知る由もなかった。
「そっか!」
にこっと笑って、遥樹くんが自分の席に戻っていった。
今の会話を特に気に止めることもせずに、黙々と宿題に取り組む。
10分くらいしてから、他のクラスメートたちがぞろぞろと登校してきた。
その中に蘭ちゃんもいて、バチリと目が合った。
私は咄嗟に目をそらす。……わ、今の、感じ悪い。すぐに反省する。
……新一は、まだかな。
無意識のうちに、新一を探していることに気づいてハッとする。
はあ、とため息をついたら、始業を知らせるチャイムが鳴った。
新一は、まだ来てない。
……もしかして、休みだったり。
そう考えて、なぜか少し、安心してる自分がいる。
先生が来て、出席をとっていく。
「工藤くん……は、風邪をひいてお休みです」
先生が言った。
やすみ?
めったに風邪をひかなかった新一が、休み。
すぐに思った。
……わたしのせいだ。
私があんなこと、言ったから?
だから、風邪なんてひいちゃったの?
罪悪感でまた泣きそうになってたら、遥樹くんが私の方を見て、だいじょうぶ、と口パクした。
ちょっとだけ、気が楽になった。
ありがとう、という言葉の代わりに、うん、と頷く。
休み時間、蘭ちゃんが私のところに来た。
「新一、どうして風邪ひいたかAちゃん知ってる?」
蘭ちゃんの言葉に、ズキっと胸が痛んだ。
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極・吹雪姫 - ちょっとびっくりしたのが、弟の瑞紀(みずき)と私の「ミズキ」が被ったことだわね。 (2019年5月2日 20時) (レス) id: c4455a25af (このIDを非表示/違反報告)
極・吹雪姫 - ごめんなさい、本当に途中で泣きそうになったわ。「泣く」ですわ。泣いたページ。 (2019年5月2日 20時) (レス) id: c4455a25af (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - こいつらまだ小学生だった…!なんつー濃い恋愛を…!この小説すごく好きです!遥樹くんのちょっとした嫉妬がこぼれて、それを見てとても切なくなる。ヒロインの気持ちはよく理解できるけど、やっぱり遥樹くんがいちばん好きです! (2019年3月11日 10時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)
松野かほ(プロフ) - 遥樹くんの読み方を今初めて知った← (2019年2月13日 15時) (レス) id: 45fd1e6358 (このIDを非表示/違反報告)
みお - この小説好きです!正直言うと新一より遥樹くんの方が好きだったのでくっついて欲しかったなぁって思ってます() (2018年6月8日 19時) (レス) id: 0646f7c2e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みやの | 作成日時:2018年3月1日 22時