いい子 ページ39
情で優しくされる私がずるい?
意味わかんない。
好意なんてないのに優しくする方がずるいよ。
新一は、期待だけさせて。
その期待を笑顔で握り潰すんだ。
「成宮さんて猫かぶってたの?」
「え?」
「新一くんとか遥樹くんの前ではいい子ぶってるじゃない!」
「いい子ぶってる?」
「そうでしょ!」
「私が?いい子ぶってる?ええ!」
「なによ?」
そんなふうに思われてたんだ。
いい子。
いい子って、どんな子?
嫌がらせしてくる大山さんと高橋さんのこと、興味ないって言って、友達関係より自分のことを優先して。自分の意見もはっきり言えない。
ああ、確かに、私は。
周りの人に気に入られたくて、嫌われるのを怖がって、いい子を演じてる?
とんだ猫かぶり。
「急に黙って、なに?やっぱり図星だった?」
高橋さんが、さっき私が言ったみたいに言ってきた。
「二人は、私のこといい子だと思うの?」
「はあ?成宮さんが?」
「さあ。さっきまではそう思ってたけど、イメージ変わった」
「イメージ」
「性格悪い猫かぶり女!」
「ひど……」
大山さんが、バカにするみたいに笑った。
「とにかく、もう新一くんに近づかないで」
「遥樹くんにもね」
「だから、それは無理だってば」
「どうして?簡単じゃない。新一くんと遥樹くんを無視し続ければ、いずれあんたに興味なんてなくして、話しかけられなくなるわよ」
「そんなこと……」
「できないの?」
「当たり前でしょ……」
「それはどうして?」
「どうしてって……」
「好きじゃないならいいじゃない、成宮さんの立ち位置、私たちに譲りなさいよ」
「立ち位置?」
立ち位置って。
何言ってるんだろう。
「無視できないなら、私たちのこと紹介して」
「紹介?」
「そう、成宮さんの友達として」
「友達?私たちが?」
「うん」
「散々嫌がらせしてきたくせに?友達って!」
「和解して友達になったって言えばいいでしょ!」
「は?」
うそでしょ。
和解なんて出来るわけないじゃない。
階段から落とそうとした人と、どう和解しろっていうの。
「絶対イヤ」
「なんでよ!」
「なんでですって?胸に手を当てて考えてみなさいよ!」
「意味わかんない!」
「こっちのセリフ!」
「もういい!何もしてくれないなら、自分でやる!」
「勝手にすれば!そのかわり、私の友達は傷つけないで!」
「どうして?」
「大事だから!」
自分さえよければ他はどうでもいいクセに?
悪魔が私に囁いた。
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極・吹雪姫 - ちょっとびっくりしたのが、弟の瑞紀(みずき)と私の「ミズキ」が被ったことだわね。 (2019年5月2日 20時) (レス) id: c4455a25af (このIDを非表示/違反報告)
極・吹雪姫 - ごめんなさい、本当に途中で泣きそうになったわ。「泣く」ですわ。泣いたページ。 (2019年5月2日 20時) (レス) id: c4455a25af (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - こいつらまだ小学生だった…!なんつー濃い恋愛を…!この小説すごく好きです!遥樹くんのちょっとした嫉妬がこぼれて、それを見てとても切なくなる。ヒロインの気持ちはよく理解できるけど、やっぱり遥樹くんがいちばん好きです! (2019年3月11日 10時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)
松野かほ(プロフ) - 遥樹くんの読み方を今初めて知った← (2019年2月13日 15時) (レス) id: 45fd1e6358 (このIDを非表示/違反報告)
みお - この小説好きです!正直言うと新一より遥樹くんの方が好きだったのでくっついて欲しかったなぁって思ってます() (2018年6月8日 19時) (レス) id: 0646f7c2e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みやの | 作成日時:2018年3月1日 22時