二十九件：snowwhite ページ29
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”水曜日”
檜「なに読んでんの？」
放課後、仕事の空き時間に一冊の本を読んでいたら
背後から覗き込んできた檜山くん
「あっこれ？」
「外国版 白雪姫」
檜「へーそういうファンタジー系読むんだ」
「うん昔から好き」
檜「白雪姫って王子様のキスで目覚める話だっけ？」
「うん、」
「でも外国版はお姫様、最後目覚まさないの」
檜「え、王子様キスしてくれないの」
檜「ただのいじわるじゃん」
どうしてそうなる
「違うよ笑笑、キスするけど目覚めないの」
檜「切ないね、」
「理由は王子様が他のお姫様に恋してたからなんだって」
檜「現代でいう浮気ってこと？」
「そう、だからお姫様死んじゃう」
檜「外国版、悲惨だな」
「今度の学園祭で白雪姫やりたいな〜〜」
檜「いいじゃん、」
『すいませーん、本返却したいんですけどー！』
檜「あ、今向かいます〜」
「わたし行く！」
檜「姫は本読んでて」
芝居モードに入り、
光の速さでカウンターへ向かった檜山くん
気付けばもういない
「……あ、うん」
いちいち胸が高鳴る
カウンター業務を終え再びこちらへやってくる
檜「ねえ、こないだの借り返したいんだけど」
「こないだの？なんかあったっけ」
檜「ほら、Aちゃんにブッカー貼り任せちゃったから」
「ああ、そういえばあったね」
結局中途半端にやって颯太と帰ったけど…
檜「ひとつ要望聞くよ、」
「いいよ、そんな！」
檜「じゃあ、一ヶ月カウンター業務お休みしていいよ」
「それはさすがに申し訳ない！！」
「あ、檜山くんもしかして私と図書委員やりたくない…？」
檜「なんでそーなんだよ、」
「少し考えてもいい？」
檜「いいよ」
檜山くんと図書室で初めて会話した日からもう４ヶ月が経つ
初めは緊張してきょどってばかりいたけど、
今になってようやく普通に話せるようになった
『んもー』
『ウォーリー見つからねえんだけど』
『でてこいよ、』
ぼそぼそなんか言ってる檜山くんを眺めてはニヤける
『Aちゃん、ウォーリー隠すなよ』
ときどき、檜山くんは言葉遣いが悪い
これも打ち解けている証拠なのかな、
私の彼に対する気持ちは変わっていない
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作者名：えくぼ
| 作者ホームページ：http://twitter.com/obukeeeee
作成日時：2020年6月17日 7時
