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-原田side-
いつも通りの巡察の道。
隊士たちを背に、周りを見ながら進んでいた。
自然にAの顔が頭に浮かぶ。
会って数日足らずなのに気になってしまうのは、彼女のせいだと思う。
男だらけの新撰組に、突如現れた彼女。
まあ、連れてきたのは、俺だが。
透明感のある肌に、色素の薄い柔らかな髪と瞳。
小さな体と、無垢な笑顔。
今までの新撰組になかったものばかりだった。
俺たちや、隊士たちまでもがかまいたくなるのも仕方ない。
ただ、これを風紀の乱れだと判断するのは違うと思う。
たまにはこんな刺激も必要な気がする。
あいつの笑顔には、つい、つられて笑顔になってしまう。
気を張ってばかりの奴らには良いことだと思った。
｢三凪さんついてます｣
そんなことを暢気に考えていた俺の目に入ったのは、口に付いていたのか餡を、柳に指ですくい取り舐められ、驚いて赤面するAだった。
俺は驚いた。
Aって、あんな顔できんのか……。
可愛らしい、と思うと同時に、曇る感情も湧き上がる。
柳を見ると同じように照れていた。
嫌な感情が膨れる。
俺は２人に近寄った。
｢おう。美味いか｣
｢左之助だー！ すっごく美味しいよ｣
Aの元気な笑顔に、もやもやしていた気持ちが溶かされていく。
｢原田組長、お一ついかがですか｣
柳は丁寧な動作で団子を手に取り、俺に差し出した。
｢いただく｣
受け取ると、柳は残り少ないお茶をすすった。
｢左之助、巡察がんばって｣
｢おうよ｣
笑ってやると、Aはまた団子を食べ始めた。
隊士たちも待ってるし、そろそろ行かねえとな。
俺は、何故か足が重く感じた。
柳とAを２人にさせることが、今更になり不安に思えた。
俺はどうやらAに過保護らしい。
｢左之助、行かないの？｣
不思議そうに俺を見るA。
｢おう……｣
俺は名残惜しげに隊士たちのもとへ戻った。
そしてまたいつもの道に戻る。
ちらっとAを見てから、俺はまた歩みを進めた。
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入華(プロフ) - 意見、質問、感想などがあれば書いてくださると嬉しいです！ (2016年9月16日 6時) (
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作者名：入華 | 作成日時：2016年9月11日 13時
